マヤ・アンジェロウ、リチャード・ライト、ジョン・ヘンリック・クラークという3人の黒人文豪のショートストーリーによる3部作オムニバスです。それぞれが30分程。リチャード・ライトの「Long Black Song」は、ダニー・グローバーが主役で「How Stella Got Her Groove Back / ステラが恋に落ちて (1998)」のケビン・ロドニー・サリバンが監督。1939年アラバマが舞台。人種差別と戦う中での、ちょっとした孤独という隙間が夫婦に入り込んで...大人のラブストーリーとしても成立している中々面白い物語だった。ダニー・グローバー演じるサイラスの奥さんサラを演じたティナ・リフォードという女優さんが中々の演技。
2つ目がジョン・H・クラークの「The Boy Who Painted Christ Black」で、ウェズリー・スナイプスが主役。ジョン・H・クラークというと、ニューヨークのハーレムを思い出すのですが、こちらは1948年のジョージアが舞台。「Deacons for Defense / 日本未公開 (2003)」のビル・デュークが監督。ウェズリー・スナイプスが黒人が通う小学校の校長として成功していて、その功績が認められてもうすぐ昇進か?という所で、彼の学校に通う才能ある男の子がキリスト像を黒人として描いた事で1騒動。スナイプス演じる主役は、行き詰るとサックスを弾いて気を紛らわせるのが、中々。「Mo' Better Blues / モ’・ベター・ブルース (1990)」を思い出しました。
3つ目がマヤ・アンジェロウの「The Reunion」。1958年のシカゴのクラブが舞台。この前「Nightjohn / 日本未公開 (1996)」を見て気に入ってしまったローレイン・トゥーサンが主役のジャズピアニストを演じています。バンドリーダー役がカール・ルンブリーなので、「Nightjohn」コンビなんです。監督は「Don't Be a Menace to South Central While Drinking Your Juice in the Hood / ポップ・ガン (1996)」のパリス・バークリー。タイトルの「Reunion」、主役のフィロミナは誰と再会をするのか... 小さい時にメイドとして働いていた白人家庭の娘と再会する事になります。フィロミナの心の葛藤が描かれています。最後のフィロミナの台詞が強烈。ローレイン・トゥーサンは、見た目の美しさで楽しませる女優という訳ではないけれど、演技をする美しさで楽しませてくれる女優さん。
この3つの作品をまとめたのがジャズ。音楽を担当したのが、パトリース・ラシェン。彼女の曲「Forget Me Nots」や「Remind Me」はラップ等にもサンプリングされていて有名ですよね。この作品では、本当にいい感じで3つの作品をまとめ「アメリカの夢」を見せてくれています。タイトルがいいですよね。黒人達の夢じゃなくって、これはアメリカの夢なんだという事。
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(4.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)