MLK/FBI / 日本未公開 (2020) 1788本目
なぜFBIはキング牧師を執拗に追いつめたのか?『MLK/FBI』
マルコムXについての本「The Dead Are Arising: The Life of Malcolm X」を読んだら、結構な量でキング牧師、そしてキング牧師とFBIについても書かれていた。30年もの年月をかけて書かれた本ゆえ、著者はFBIファイルも読みこんでいるのが分かる。マルコムX、キング牧師ともにFBIとは切っても切れない。いや、切って欲しかった。正直、マルコムの本の方が詳細に、そして色々なことが明らかになっていて面白いが、こちらもかなりの所まで迫っているので、両方併せて読んで/見て欲しい。そしてこちらは、スパイク・リー映画で編集担当で、スパイクと『4 Little Girls / 日本未公開 (1997)』を一緒に制作してアカデミー長編ドキュメンタリー作品賞にノミネートされたサム・ポラード監督によるキング牧師を執拗に追ったFBIの記録ドキュメンタリー作品。
ワシントン大行進で人々が集まり、主催者であるベイヤード・ラスティンがイントロとなるスピーチを始めた。そしてFBIのキング牧師についての夥しいファイルの数々が映し出される。その内容を知る者は「(そのファイルは)あってはならない物」と言うほど、キング牧師のプライベートな内容が記録されていたのだった。
普通にキング牧師と書いておりますが、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師のこと。キング牧師といえば、ジュニアの方ですよね。父であるシニアもかなり有名な牧師です。アメリカでも、タイトルようにMLK(Martin Luther King)で、やはりジュニアの方を指す。今だったら殆どの一般人は、キング牧師の言葉の方を信用すると思うのだけど、当時は違った。FBIのJ・エドガー・フーバーの「キング牧師が内戦を始める」という嘘を信じてしまった。そして、キング牧師がノーベル平和賞に輝いたことで、フーバーは余計にキング牧師を執拗に追う事になっていく。このノーベル平和賞とキング牧師とフーバーの関係は、本作でも触れられているけれど、マルコムXの本の方が詳しい。なんでフーバーがそうなってしまったのか、よーーーく分かる。単なる私利私欲の、恨みってだけです。実に馬鹿らしい!! そして本作でも追っているキング牧師の奥様に送り付けた録音テープの時に、なぜFBIは「自殺しろ」というメモを付けたのか、それもマルコムXの本で謎が解ける。本作とマルコムX本『The Dead Are Arising』、両方がキング牧師とFBIの関係を暴いている。そして両方で知ったことは、J・エドガー・フーバーは私利私欲にまみれた人種差別者で、とんでもないクズだということ。
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MLK/FBI / 日本未公開 (2020)