キャプテン・アメリカ:トゥルース
キャプテン・アメリカ:トゥルース
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光栄なことに、ShoPro Booksより明日(1月19日・木)発売の『キャプテン・アメリカ:トゥルース』を献本していただきまして、お先に拝読させていただきました。私のツイッターをフォローして頂いている方は御存知かもしれないですが、私は最近、南北戦争~リコンストラクション時代の歴史、そして黒人とアメリカが参加した戦争について趣味の範囲ではありますが、文献などを読んでいたりして深みにハマっております。そんな私にはど真ん中のコミックでして、いきなり(10ページ前!)W.E.B.デュボイスの名前や、万国博覧会の「黒人週間(ニグロ・ウィーク)」などが出てきて、脳を刺激されビンビンになりました。
というか、一番先に書くべきなのですが、イザイア・ブラッドレーの物語。Disney+で配信された『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に出て来たあのイザイア・ブラッドレーです!! 太字にして文字大きくしておきました。大事なのでね。配信シリーズでも、史実を盛り込んでイザイア・ブラッドレーの物語になっておりましたが、それがさらに深堀され、そしてこれまたうまいこと史実に絡めて最高に面白いコミックになっております。と、書くと、「黒人史詳しくないしー」とか思うかもですが、巻末には著者ロバート・モラレスによる解説もあるので、その心配は全くありません。分からなくても取りあえず一通り読んで、巻末解説読んで、また最初から読み直すと「なにこれすごい!」となります。
史実もあるし、スパイク・リーやデンゼル・ワシントンも出てきちゃう最高な物語です。ラストの家の壁は圧巻。探すの楽しい。そしてイザイア・ブラッドレーだけではない、別の黒人たちの物語にも触れており、一辺倒ではない様々な黒人像が見えてくる。ちなみにラストは泣きました。これは泣く。マーベル好きなら余計に泣く。
著者が書いただけあって巻末の解説が完璧なので、他の説明は要らないかなという感じなのですが、最後の方でステファニーという女の子が「その本はダメ」と怒られているのは、「The Sauce」。そうですね、ラップ雑誌「The Source」のパロディですね。あと死体を見ない方が良いと言われながらも毅然とした態度で「私の夫」と返すイザイアの妻フェイスの言葉は、エメット・ティルの母親を意識しているかなと感じた。シャバズさんは、マルコムXの妻ベティ・シャバズを思い出す。ベティが亡くなったのもブロンクスだし。あと巻末で特におすすめされておりませんでしたが、先日読んだヘンリー・ルイス・ゲイツの『Stony the Road: Reconstruction, White Supremacy, and the Rise of Jim Crow (English Edition)』も、科学や学問が人種差別に使われていた話とかもあるのでおススメです。
これを映像化するのは、色々な事情で(読めば分かります)難しいのは分かるんだけれど、映像化して欲しいと願ってしまう。イザイア・ブラッドレーを演じたカール・ルンブリーが最高に好きなので、何とかしてみたい。1度だけ、1度でいいからこのためにやってくれないかなー。
コミックを読むだけで黒人史(しかも学校で教えてくれないディープな学び)を学んでしまう、そういう学びのあるコミック。すごいよ~!