ボツワナ国を作った王子様の恋愛物語『A United Kingdom』
アマ・アサンテ、イギリスで女優として活躍もする才色兼備な映画監督。前作『Belle / ベル 〜ある伯爵令嬢の恋〜 (2014)』は、ロマンチックな物語で詩的なセリフと時代設定による美しい衣装、そして主人公2人の魅力も混ざり合い、私をとてもウットリさせてくれた。私が読んでいた頃の昭和的少女漫画のような感じ。思い出しただけでテンション上がってきましたよ。今回は1940年代頃からのイギリスと現ボツワナを舞台にした、当時タブーだった黒人と白人の恋愛・結婚、しかもそれが一国の王子・大統領だったら?という歴史ロマンス物語。文字通り・正真正銘の王子様が主役!!!こ、これも昭和的少女漫画の展開が期待出来る!と、観ましたよ。うふ(自称王子様好き)。
叔父のツェケディ・カーマ(ヴジー・クネーネ)がセレツェ・カーマ(デビット・オイェロウォ)に手紙を書いている。セレツェは勉強をしているロンドンでボクシングをしていて、負けた。社交場に行くと、ルース(ロザムンド・パイク)と姉妹のミュリエル(ローラ・カーマイケル)が居た。セレツェが仲間と話していていたら、ルースと目が合った。その後にセレツェにダンスに誘われ快諾。2人はジャズの話で意気投合。数日後にルースの家にジャズのレコードとダンスチケットが届く。2人は順調に交際していくかと思われたが、セレツェは勉強が終われば母国ベチュアナランド(現ボツワナ)に戻り、国王とならねばならなかったのだ。白人のルースとの結婚が許される筈がなかった。現在、国を司る叔父のツェケディも反対し、ルースの父もまたセレツェが黒人だという事で反対していた。しかし、もう後戻り出来ず...
『ベル 〜ある伯爵令嬢の恋〜』の方は17世紀の物語で、正確な資料が残っている筈もなく、割と書き手の想像力任せで脚色をたっぷりつけられた分、あのような少女漫画のようなワクワクする恋愛ストーリーになっていたけれど、こちらは割と史実通りに描かれている分、ロマンチックは半減だ。いや半減どころか9割減。かなりオーソドックスな歴史ドラマでした。歴史ロマンスというよりも... ガックシ(´・ω・`)。アマ・アサンテは、イギリス版ジーナ・プリンス=バイスウッドのような信頼できる少女漫画的ロマンチック映画監督になると思っていたのに!!本当に普通ーーーーーーな歴史ドラマ。だったら、逆に硬派なセレツェ・カーマ物語を観たかったかもしれない。奥様の事はサラーっと描いて、セレツェが大統領になった辺り頃からガッツリと観たかったかなーとも思った。
そしてやっぱり『ベル』は主人公のググ・バサ=ローとWWEとかでプロレスしているロブ・ヴァン・ダム(RVD)に似た男優(褒めてるんだから名前調べてあげて!)のチャーミングさに頼る部分も大きかったんだろうなーと。今回のデビット・オイェロウォとロザムンド・パイクは真面目過ぎだね。そしてチャーミングな可愛らしさに欠けているので、2人は夫婦には見えるんだけど、その前段階のなんだか恋しているという雰囲気には見えなかったんだよねー。所謂「キュン」が無かった。
という訳で、私は恐らく他の人とは違う事をこの映画に期待していたので(´・ω・`)となっておりますが、普通に映画を観る人にはとてもオーソドックスな歴史ドラマでそこそこ面白いと思います。オーソドックス歴史ドラマの金太郎飴ですよ。どこを切ってもオーソドックス!
A United Kingdom / 日本未公開 (2016)(3.25点:1598本目)