Juanita / ライフ・アズ・ファニータ (2019) 1691本目
恐るべしベテラン女優アルフレ・ウッダード『ライフ・アズ・ファニータ』
アルフレ・ウッダード主演。最近だと、『Marvel ルーク・ケイジ』のマライア役と書けば分かりやすいかな?ベテラン女優の1人で、マーティン・リット監督の『クロスクリーク』(1983年)という作品で、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされている実力派。これね、本当に凄いことなんですよ。80年代に黒人役者がアカデミー賞の主演・助演の演技部門でノミネートされたのはたった10人。そのうち女性は4人で、他3人は『The Color Purple / カラーパープル (1985)』でのノミネート。それから随所で、ウッダードは良い作品に出演している。賞レースに絡む作品から、娯楽作品、そしてカルト作品まで。私のNBA好きに火をつけた『Blue Chips / ハード・チェック (1994)』では、アンファニー・”ペニー”・ハーダウェイのお母さん役だし、『Miss Evers' Boys / ミス・エバーズ・ボーイズ〜黒人看護婦の苦悩 (1997)』は本当に好きな作品。これから公開の『Clemency / 日本未公開 (2019)』も楽しみで仕方ない!いい人から不埒な人まで幅広くて、大好きな女優さんの1人です。今回も、もちろん彼女の名前を見つけたから見た。シーラ・ウィリアムズ原作の『Dancing on the Edge of the Roof』をNetflixで映画化。
ファニータ(アルフレ・ウッダード)は結婚、妊娠、そして離婚を経験して今に至る。3人の子供たちと共にオハイオ州クリーブランドで生活。娘のバーティ(ジョーダン・ニア・エリザベス)はシングルマザーで、子育てをファニータに押し付けて夜遊び。ランディ(マーカス・ヘンダーソン)は良い子だけど、今は刑務所。ラショーン(アコーエ・ホワイト)もそのうち刑務所に入りそうだ。そんな状況の中、憧れの俳優ブレア・アンダーウッド(ブレア・アンダーウッド)との妄想と、親友のケイ=リタ(ラタンヤ・リチャードソン)との会話で何とか我慢している。けれど、今回ばかりは... 爆発しそうなファニータは、グレイハウンド(長距離バス)に乗って、モンタナ州にあるペーパームーンという所にたどり着く...
ウッダード買いで、何の情報も入れずに観ました。なんていうか、アルフレ・ウッダード的『How Stella Got Her Groove Back / ステラが恋に落ちて (1998)』でした。ブレア・アンダーウッドが、ブレア・アンダーウッド役で出てくるのが面白かった。しかし、ブレア・アンダーウッドって、やっぱりあの年代のセックスシンボルなんですね。60ドルの所、最高でした。原作読んだことないけれど、原作でもブレア・アンダーウッドなのかな?
そして、辿りついたモンタナで、ネイティブ・アメリカンの男性ジェスと知り合い、そして変化していくストーリー。正直、おばさんが(失礼!)が主人公のストーリーって、アピール出来る世代が同じおばさんだけになっちゃうと思うんですよね。若い子にはもちろん、同じ世代のおじさんたちもこのストーリーは興味ないと思う。でも男性と出会って変わっていくだけじゃないので、どの層が見ても好感度が高い筈。思い立ってグレイハウンドに乗るまでの過程とかもしっかり描かれていて、そして徐々にファニータが変わっていくのも良いですね。その過程をウッダードの演技力でしっかり見せるタイプの映画。ジェス役のアダム・ビーチも良かった。ネイティブアメリカンとアフリカ系アメリカ人って、昔から密接に関わっているのに、映画ではあんまり描かれないので、今回はそれが少し見えたのも良かった。そして、ランディ役のマーカス・ヘンダーソン、どこかで名前を聞いた...と思ったら、『Get Out / ゲット・アウト (2017)』の直線走り男ウォルターくんではありませんか!そしてサミュエル・L・ジャクソンの嫁ラタンヤ・リチャードソンの親友ぷりもグッときました。良い役者が揃っていた。そして『S.W.A.T. / S.W.A.T. (2003)』のクラーク・ジョンソン監督作品。正直、こういう作品を作るとも思っていなかったので、新鮮でした。
アルフレ・ウッダードの実力を見せつけられました。長年、この業界で活躍し続ける人は、やっぱり凄い。恐るべしです!
(4点:1691本目)