While I yet Live / 日本未公開 (2018) 1679本目
織りなす歴史と愛情『While I yet Live』
先日書いた『Hale County This Morning, This Evening / 日本未公開 (2018)』と一緒に放送されたショートドキュメンタリー。ショートだし、同じアラバマ州なので『Hale County』と一緒で書こうかと思ったけれど、長くなったので別に。監督は、デビット・オイェロウォがダイアン・ウィーストと共演している『Five Nights in Maine』のマリス・カラン。
アラバマ州に正式にはボイキンという町名だが、ジー’ズ・ベンドと呼ばれている小さな町がある。町はアラバマ川に囲まれ、川沿いに北上するとセルマがある。60年代の公民権運動で、キング牧師が率いたセルマからモントゴメリーの行進で知られるセルマ。そのジー’ズ・ベンドは、黒人コミュニティで、町には伝統があった。女性たちが作るキルト。彼女たちが作るキルトは、今ではアートとなり博物館に展示されるほどとなっている。その歴史や作る人々を追う。
20分もないショート映画でしたが、面白かった。この町がジー’ズ・ベンド(Gee's Bend)と呼ばれているのは、ジョセフ・ジーという男がプランテーションを始め、そしてこの町を囲むようにアラバマ川が屈曲(ベンド)しているからだ。その後、土地が別の人に売られたりなど色々あったが、奴隷解放宣言後もこの町に住み続けた人たちが彼らの祖先だ。小さい町ゆえ、色々と大変だった。そんな中、女性たちは「子供たちを温めるため」に布を繋ぎ合わせキルトを作り続けた。作る人々はもう高齢となっていたけれど、中にはセルマの行進に参加した人たちもいる。そしてキング牧師もこの町を訪れている。80年代に彼女たちのキルトが脚光を浴び、彼女たちや町が豊になると期待されたが、彼女たちには何の利益にもならず、利用され搾取されただけだった。
これ観て思い出したのが義祖母。いつだったか、里帰りした時にキルトの大きなカバーをプレゼントしてくれた。黒人女性から手作りキルトをプレゼントしてくれる意味みたいのを何となく理解していたので、本当に嬉しいプレゼントだった。家族として義祖母の歴史や思いを織りだしていかないと、と思った。この映画を観ると、あの時の嬉しさが再び蘇る。大事にしまってあるので、久々に広げてみたくなったし、今はもう居ない義祖母が恋しくなった。
ジー’ズ・ベンドのことは、私も正直知らないことだらけだったので面白かった。でもショート映画なので、詳細を知るのにはもっと調べた方が良い。なのでリンク貼っておきます。
- キルト作品
Gee's Bend Quiltmakers | Souls Grown Deep Foundation
Fabric of Their Lives | Arts & Culture | Smithsonian
- ジー’ズ・ベンド・キルトの歴史
www.blackmovie-jp.com
(4.5点:1679本目)