『ブラックパンサー』のプレミアが開催され時に、私の興奮がどうも納まりきらず... ちょっと落ち着かせそうと観た作品。実在したリアルスーパーヒーロー...マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師のドキュメンタリー。なのですが、副題で分かるように、そのキング牧師を暗殺した男ジェームス・アール・レイをどのように捕まえたのか?を検証する作品。前にTV放映されたのを録画しっぱなしでした。
という訳で、1968年4月3日10:33AM、テネシー州メンフィスにキング牧師が降り立つ所から始まる。清掃員の仕事環境と賃金改善を求めたデモが開催される予定で、キング牧師がメンフィスに呼ばれた。キング牧師は多忙だった為に、そろそろ公民権運動から引退しようと思っていた事、そしてメンフィスのデモも側近から反対されていた事、そしてどういった経緯で悲劇の現場となったロレイン・モーテルに泊まる事になったのか、などが明らかになっていく。それと同時に犯人のジェームス・アール・レイの足取りを再現ドラマで当時関わった人たちの証言と共に追っていく。
これ観ると、FBIってやっぱり凄いんだ!と思いました。ジェームス・アール・レイは偽名を使い逃げていたけれど、下着のパンツのファイバーからクリーニング店を割り出し、証拠を集めたのはビックリした。これ観ると、絶対にFBIから逃れられない!って思ってしまいましたもの。当時なんて今の技術なんてなくて、それでも追い詰め方が凄まじい。執念。犯人のジェームス・アール・レイも悪い事には頭が働くけれど基本抜けている、典型的な犯罪者タイプ。とはいえ、FBIは執念でキング牧師暗殺の犯人を見つけたけれど、キング牧師が在命中には電話盗聴とかで苦しめた張本人でもあったりと、私の心中は中々複雑でありました。でもFBIに興味がある人は見てもらいたい。本当にその捜査方法は素晴らしい。細かい事を丁寧に根気よくやっている。
で、当時関わっていた人々の証言もあって、メンフィス警察で1番最初に無線で署に連絡した人とか、捜査に関わった人とか、その時キング牧師の側にいた人とか、キング牧師暗殺について本を執筆した作者とか、ジェームス・アール・レイの弟とか... あの時のメンフィスでは何か不穏な空気が漂っていたので、警備を強化しましょうか?とキング牧師に尋ねたら、キング牧師が「私を守るのは万能の神です」と返したと聞いて、流石だと思うと同時に切なくなりました。
キング牧師暗殺については、陰謀説が沢山ある。陸軍に居たと言え対して優秀でもなかったジェームス・アール・レイによるたった1発の銃弾で亡くなってしまった事もその陰謀説の引き金になっている。レイが引き金を引いた男であるのは間違いないが、資金協力をしていた人物がいるとか、逃亡を手伝っていた人がいるとか... 単独犯ではないという見解もある。実はキング牧師の遺族も単独犯でなかったと思っている。でもキング牧師の暗殺事件についてもう何十年も調べている作家の人によると、やっぱり単独犯が有力。その人は「ジェームス・アール・レイという男はあんな風にしてキング牧師の遺族も丸め込んでしまう男なんだ!」と力説していた。その作家がレイの事を4 Times Loser(4回も失敗した負け犬)と呼んでいたのは笑ってしまった。
そしてジェームス・アール・レイの弟ジェリー・レイは、ずっと兄の無罪を訴えている。ちょっとだけこの作品でも話しているんだけど、それだけでどんだけ嫌な人なのか分かった。凄く憎たらしい!!このレイ兄弟もだけど、レイの弁護士になろうとしていたヘインズ親子も信じられない。世の中には信じられない人がいっーーーぱい居る。
でも幾らこんな執念の捜査をしてもキング牧師はもう戻ってこない。それが一番悔しい!!!!!!!!!!あの執念で全力でキング牧師を守って欲しかった!!!!!!!!
Justice for MLK: The Hunt for James Earl Ray / 日本未公開 (2016)(3.5点:1623本目)