SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて

92年LAの街で様々な人種が複雑に絡み合うノスタルジックな『Gook』

2017年の年初めのサンダンス映画祭で公開され、NEXT!部門で観客賞を受賞した映画。私も凄く気になっておりました。今年はLA92(所謂LA Riotの事で日本語でもLA暴動とか言われている)から25周年だからね!今年は沢山それ関係の映画観た。良い作品ばかりだったよ。『LA 92 / LA 92 (2017) (TV)』とか『Burn Motherfucker, Burn! / 日本未公開 (2017)』とかね。その締めくくりにこのドラマ作品を!

「”Gook”とは、東と東南アジアの人々へを中傷する言葉。特にアメリカ軍の人々の間で使われ、朝鮮戦争ベトナム戦争の時に一番使われた言葉である」。大きく炎をあげる建物の前で黒人の女の子が優雅に踊っている。1992年4月26日、ロサンジェルス近郊のパラマウントにて、トラックの荷台から靴を買っているのがイーライ(ジャスティン・チョン)。しかし箱が車に入らず四苦八苦していた所、やってきたのがメキシコ系のグループ。イーライはそのグループに暴力を振るわれ、家に何とか戻ってきた。その時につけたテレビで、ロドニー・キングの事件の事を知る。家ではまだ弟ダニエル(デイヴィッド・ソ)が寝ていてイライラ。一方、黒人の女の子カミーラ(シモーン・ベイカー)は、姉(オモノ・オコジエ)からランチ代が貰えず、居間にあったジーンズのポケットから勝手に拝借、玄関のポーチでぼーっとしている兄キース(カーティス・クック・ジュニア)にも邪険にされ、逃げるように学校に向かう...と思ったら、近所でグロッサリー店に行く。店主キムさん(サン・チョン)に万引きするなよ!と念押しされムカつくカミーラ。その後カミーラは向かいの靴屋に出向く。靴屋はイーライとダニエルの店で、2人はカミーラが学校をサボっている事は知っていたが、言っても聞かないので、手伝いをさせつつ面倒を見ていた。そんな時、キムさんが「やっぱり万引きしただろ!」と入ってきて、カミーラの頬を叩く。イーライは怒り狂ってキムさんに歯向かっていく...

と、ここからの展開も面白いのです!というか、ほぉー!!と感心する。そしてちょいちょい、ロドニー・キング事件の詳細が上手い具合に入ってくる。まあ大抵はニュース映像ですけどね。そして、↑のプロットだけでは分からないけれど、物語は結構複雑に絡み合っているんですよ。↑で名前出した人々が上手い感じで。その状況が、LA92って単に黒人vs白人とか黒人vs韓国人と伝わっていますが、そうじゃない事を示している。黒人vs韓国人の場合は、身近だったからこそ色々と複雑に絡み合ってしまった。でもそれは単なる勘違いとか思い込みみたいのもある。でもそこにあるのは、やっぱりお互いへの偏見だったりもする訳です。その辺りをこの映画はとても上手く描写、そして表現していた。そしてどの人種にも嫌な奴は絶対に居るけれど、少しでも知るとそれ以上に良い奴もいる。私はこの映画の中で、一番好きなのがヘスス。滅茶苦茶笑った。理由を書きたいけれど、書くとちょっとネタバレになるので自粛。観ると分かる。みんなヘススを好きになる!

私も小学生時代に鍵っ子で帰ってくると誰も居ないのが耐えられず、幸いにも商店街の近くに住んでいたので、子供にとっての理想郷...玩具屋に入り浸っておりました。店主がお子さんがいない夫婦だったので、余計に可愛がってもらって、いつもジュース買ってきてと200円くれて(当時は消費税などない素晴らしい日々だったのだ!)、自分の分も買ってくるんだよと言ってくれた玩具屋のおばちゃんを滅茶苦茶思い出しました。元気だといいな。と、割りとノスタルジックさもある。きっとモノクロで撮ったせいだ。今度は私がジュースを持っておばちゃんのところに行こうかな?と思ったけれど、残念ながらその商店街が全滅してしまっている。うーん、自分の似た体験もあり、とても感傷的にしてくれる映画だった。カミーラの気持ちが本当に良く分かった。

という訳で、LA92の渦中を描いている訳じゃないけれど、確実にそれが影響していて、完全にLA92な映画。

Gook / 日本未公開 (2017)(4.5点:1614本目)