先日の『LA 92 / LA 92 (2017)』と同様に1992年に起きたLA暴動・蜂起・不安についてのドキュメンタリー映画。こちらもTV映画で、こちらは有料チャンネルにて放送。監督はファッション畑の人で、そんなヒップホップ・ファッション系の映画ドキュメンタリー『Fresh Dressed / 日本未公開 (2015)』のサシャ・ジェンキンス。
こちらも当時の映像がたっぷり。そしてドキュメンタリー映画ならではのインタビュー映像も多いが、起こった当時のニュースなどでの街頭インタビューなどの当時のインタビュー映像が多いのが特徴。そしてヒップホップにも精通しているサシャ・ジェンキンス監督らしく、アイス・キューブ(当時映像だけど)やYoYoにスヌープ・ドッグにサイプレスヒルにフィッシュボーンまで登場し、当時を振り返る。ので、『LA 92』ではなく、こちらのエントリーでアイス・キューブと共にLA暴動を振りかえれば良かったと後悔している。面白かったのが、スヌープ・ドッグがラッパーとしてではなく、OGという敬称で出ていたのが笑った。
それだけではなく、LA暴動を語る映画で初となる登場がワッツ・プロフェットやワッツ・ライターズ・ワークショップの事だ!1965年のワッツ暴動以降に、政府機関が非営利団体への寄付金を拡大した事で、ワッツにもコミュニティセンターが出来るようになり、ワッツ・ライターズ・ワークショップなどが出来たという。ここは有名な白人脚本家が設立し、TVシリーズ『ラブ・ボート』などで知られる俳優のテッド・ラングや、『007 死ぬのは奴らだ』のヤフェット・コットーなどが居た。そこから出てきたのがワッツ・プロフェットだったという。そしてこのようなコミュニティセンターから頭角を現すようになったのが、学者でクワンザの創設者マウラナ・カレンガ(ロン・カレンガ)。この一連の流れは、他の映画で語られる事がなかったので、面白かった!!
この映画の中で忘れられないのが、ラターシャ・ハーリンズの従姉妹の涙。ラターシャ事件の詳細はこちら。実はその従姉妹がラターシャよりも先にオレンジジュースを買ってくるように言われていたが、面倒だから嫌!と断った事で、ラターシャが行く事になった。その従姉妹は今でも泣きながら「本当なら私が殺されていたのかもしれない」と話す。胸が抉られる。
そしてエンディング。LAの子供たちがLAについて語る。彼らにとってLAは「家」。それでも彼らは燃やし尽くした...マザーファッカー、燃やしてしまえ!警告だ。
Burn Motherfucker, Burn! / 日本未公開 (2017)(4.75点:1552本目)