この映画、全くのノーマークでしたよ。というか、期待は出来なかった。何となく。でも最近は太ってしまったけれど、デビュー当時は最高にキュートだったメキー・ファイファーが出ているし、見てやるか!と思い、映画のあらすじ見ていたら、あれ?ちょっと面白そう?...という訳で。
のどかな田舎町。何も起きそうもないその町で、銀行強盗が起きた。その容疑で捕まった容疑者(メキー・ファイファー)。まだ容疑は固まっていないが、48時間は拘束できるので、ディクソン保安官(ウィリアム・サドラー)と部下のライリー(デレク・ロシェ)は尋問を始めるのだった。容疑者は身分証明書も持っておらず、車も無かったので、身分が全く証明出来なかった。男はフリーマン・フィンチという名前だと保安官に話した。車は途中で壊れ、歩いていたと男は話す。しかしそのある筈の車が無いじゃないか!と詰め寄る保安官たち。男は盗まれたかレッカー車で持っていかれたんじゃないか?と話す。この町で銀行強盗する者などいない、だから町にやってきたお前こそが銀行強盗の犯人だ。それにお前は... と詰め寄る保安官。「それに...なんだ?俺が黒人だからか?」と逆に詰め寄る容疑者。実は、容疑者の男は大学教授。彼は「実験」でこの町にやってきて、助手(スターリング・K・ブラウン)と共に銀行強盗を起こし、警察や保安官たちの反応を見ていたのだ。盗んだお金はすぐに戻す予定であった。毎回やっている事だった。しかし今回は何かが違う。お金が戻ってこないのだった...
ってまとめてみましたが、この後が凄いんですよ!また一ひねり、二ひねり、三ひねりあります!最後はね、ぜーーーーーったいに想像出来ない終わり方なんですよ。まあ正直、面白そうだなって思ったのは、ファーガソンやスタテンアイランド等で起きた警官による暴力による死亡事件が発生したのに、その警察官たちは起訴されないという事態を反映していれば!と思ったんです。それを「実験」っていうのが面白いかな?と。いやー、この映画はその斜め上をいってましたよ。そういう難しい社会的問題を取り扱うつもりじゃないと思うんだけど、結果とっーーても斜めにそれを取り上げていて凄いなーと。ネタバレはしたくないので、詳しくは書きませんが、人種差別問題で...というかこの場合白人の黒人への人種差別問題の場合、奥深い根っこにある部分って、やっぱり白人の人々の黒人への偏見だと思うんですよね。それを「実験」により立証された時の白人警官の反応が、認めたくないんですよね。だから忘れようとする。無かった事にしようとする。それを知っている、心得ているのが、容疑者。だからそれを逆手にとって... でもそれがバレて、認めちゃったらどうなるか?ヤバイです。でも容疑者はそれをも予想していた... と、凄いんですよ。って今読んでいる時点では、なんのこっちゃ分からないかもしれないのですが、見れば分かります!だから見て欲しい映画なんです!!
ウィリアム・サドラーがこれまた嫌な奴を上手く演じてるんですよねー。アメリカの悪役商会の1人。多分。嘘。でも悪役!って言ったら、彼もそうだよねー。この人とブルース・ペインとウィリアム・フィクナーに夜にばったりどこかで会ったら泣くしかないもん。メキー・ファイファーもとても難しい役を両極端に良い感じで演じてたよ。両極端いけるからこそ、この映画は面白かった!と言える程に良かった。まあでもこの映画のナイスアシスト俳優は、サミュエル・L・ジャクソンね!出ている訳じゃないんだけど、彼の雑誌の切り抜きがこの映画では使われるの。笑顔といい絶妙な写真でインパクト大!その存在感の大きさと言ったら!!
っていう事で、タイトルもシンプル過ぎだし、俳優陣も地味目だし、ポスターもイマイチだし、私がこんだけ書いても「嘘でしょ!」って思っているかもしれないですが、とにかく見て欲しい!映画の中での時系列がいったりきたりで分かりにくい部分があるのは確かだけれど、それでも人種差別ってモノが素直に語られていて面白いからー!これ、白人のおっさん(失礼!)監督が作ったっていうから凄いよねー。
(4.5点/5点満点中:12/8/14:ネットフリックスのストリーミングで鑑賞)