Short Term 12 / 日本未公開 (2013) 1191本目
まあ全然ブラックムービーではないのですが、これからブラックムービーでも活躍してくれそうな新人キース・スタンフィールドが出ているのと、普通に目茶目茶面白い映画だったので書いてみます!日本の4チャンネル(日テレ)には、ベストタイミングかもしれないしー。
という訳で、日テレで作っている某「明日、ママがいない」というドラマと同じく(某要らないね!)、養護施設が舞台のインディペンデンス映画。グレース(ブリー・ラーソン)という施設の子供たちと大して年は変わらなさそうな随分と若い女性が主人公。彼女は施設の指導員。同じく指導員をしているメイソン(ジョン・ギャラガー・ジュニア)という男性が恋人。彼女達が働いている施設では、18歳になると1人立ちしないといけない。そんな18歳になろうとしているのが、マーカス(キース・スタンフィールド)だった。人一倍感受性が強くて人思い。出て行く事に複雑な思いと不安を抱えていたマーカスだった。養護施設には、様々な事情があって、子供たちが集まっている。普通な子も居るが、病んでいる子もいる。その一人一人を忍耐強く見守り、注意深く観察しているのが指導員達。ここの指導員達はみんな若い。実はグレースも養護施設で育った一人で、メイソンはフォスターファミリーで育った男性だった。そんな養護施設に、ジェイデン(ケイトリン・デヴァー)がやってきた。「私はどうせ少しの間(Short Term)だから、みんなと仲良くなろうとする努力は時間の無駄だからしないわ。もう毎回の事だから」という、全く心の開かない女の子だった。そんなジェイデンに、自分の過去を思い出していたのが、グレースだった...
確かハリウッドリポーター誌の記者が、この映画を2013年のベスト10の1本に選んでいたと思う。その他、インディペンデンス映画祭でも大活躍。グレースを演じたブリー・ラーソンの熱演もあって、養護施設の描写が非常に生々しくて、観客は頭をぶち抜かれたように衝撃を受ける。グレースは、養護施設に居る子供たちの気持ちが心情が痛いほど分かる、けど全ての子供を自分の手で助けてあげる事は出来ないという辛さもグレースに直撃する。でも彼等を救う事で、自分の過去とも向き合い克服していこうと精一杯生きている姿が無邪気過ぎて、見ている方が辛い。そしてそんなグレースを優しく見守るのが、恋人のメイソン。グレースにだって色々な事情や問題があったりする。
実際にこの映画の舞台となった養護施設で14歳からすごした男性のブログがある。この映画の事を当時のトラウマを思い起こさせるが、当時の気持ちを整理する事が出来たとも語っている。
マーカスとメイソンのラップも良かった。自分の気持ちを吐き出すラップ。そして、ジェイデンの為にマーカスが施設の子供たち全員にカード等を作らせるシーンも良い。
残念ながら親になる事もなろうとする事も出来ない人間は存在している。でも確実にいえるのは、子供たちには罪は無い。私も小さい頃には随分と「なんでうちの親はお金がないんだ!」とやさぐれた事もあったけれど、今になってみれば、貧乏だけど普通に育ててくれた事を感謝している。月並みだけど。そんな月並みな事を思い起こしてくれる。と、この映画のグレースもジェイデンに「貴方はいいママになるわよ」と月並みな事を言われて、滅茶苦茶グレースは嬉しかったんだよね。また生きる活力になったのでした。
日テレよ、養護施設のドラマはこう作るべき!って、日テレのドラマ見てないから分からないけどーw
(4.75点/5点満点中:1/22/14:DVDにて鑑賞)