Gun Hill Road / 日本未公開 (2011) 1096本目
何度も書くけど、イーサイ・モラレスは過小評価俳優よね。「ラ★バンバ」の義理の兄弟役とかさ、あれで主役のルー・ダイアモンド・フィリップスと共に名前覚えたもんね。いい名バイプレイヤーとは彼の事よ。そのモラレスが主役の作品。なんでも3月はラティーノ歴史月間らしいしさ、丁度いいじゃん。
監督はラシャード・アーネスト・グリーン。俳優もやってるらしい黒人ラティーノ監督。同じニューヨーク大学の映画学科に通っていて新人映画監督のディー・リースの「Pariah / アリーケの詩(うた) (2011)」と似ているね。同じくニューヨークが舞台。こちらはブロンクスにあるタイトルの「ガン・ヒル」通りが舞台。監督のグリーンはブロンクス生まれで育ち。ちなみにこの映画でお母さんのアンジェラを演じたジュディ・レイエスも生まれも育ちもブロンクス。彼女の場合はドミニカ系だ。
その「ガン・ヒル」通りにある家に3年ぶりに戻ってくるのが、イーサイ・モラレス演じるエンリケお父さん。3年間刑務所に居た。アンジェラはいそいそとお帰りなさいパーティの用意をしているけど、中々帰ってこない。息子のマイケルも、お父さんの帰りよりも友達と出かけたくて、ソワソワしている。途中、仲間に捕まって、やっと帰ってきたエンリケ。でも本当に帰りを待っていたのは、エンリケの実の母くらい。後は、何かよそよそしい。息子マイケルも、挨拶もそこそこに友達とお出かけ。エンリケの為に用意していたケーキもすっかり食べられている。マイケルは友達と出かけた先のクラブで、なぜか「ヴァネッサ」という名前でポエトリーを詠んでいた。そこで、とある青年がヴァネッサに声を掛ける。ヴァネッサはその男に本当の事を言う。「まだついてるの」と。エンリケが居ない3年間の間にエンリケの息子マイケルは、トランスジェンダーとしての道を歩んでいたのです。
エンリケがカトリック教徒という描写もされていて、その彼の信仰心が息子が女装をしているという事を許す事が出来ないでいる。でも、お母さんのアンジェラは今のマイケルの姿を受け入れている。一番多感な13歳からお父さんの存在が無かった事が、マイケルを変えたかもしれないという後ろめたさもエンリケにはあるのかもしれない。逆にマイケルはお父さんが帰って来てから、余計にトランスジェンダーとして突き進む。違法な注射とかもやってしまう。
ちなみにこの映画でマイケル/ヴァネッサを演じたハーモニー・サンタナは、本物のトランスジェンダー。化粧していくシーンとか、お父さんに無理矢理男である事を強要された後のシャワーシーンで大事な所を叩きつける所とか、実に生々しい。そしてそのマイケル/ヴァネッサをエンリケはスパニッシュで「パピ(パパ)」と呼び、でも友達は「マミ(ママ)」と呼ぶのが面白かった。そして夫婦間の微妙な関係。これも割りと生々しい。
この映画のラストは、「Pariah」みたいな清々しさはないけれど、エンリケお父さんとマイケルの溝がようやく埋まったんだわと思わせる、じんわりとくる感動。お父さんにとっては13歳の頃のマイケルのまま。息子は息子なんだよね。最後の2人の表情がこれまた... イーサイ・モラレスは本当にいい役者なんだってば!
(4点/5点満点中:3/9/13:DVDにて鑑賞)