「Django Unchained / ジャンゴ 繋がれざる者 (2012)」以降は西部劇が気になっている。いちよう黒人が出ている西部劇をリストアップしてみて、見ていないのを片っ端から見てみようと思った所、この映画が一番最初に気になった訳です。このジャンル、数は少ないけれど、この前書いたハーブ・ジェフリーズの出現により1937年と意外にも古くから存在していて、しかも70年代のブラックスプロイテーション時代にはジム・ブラウンやフレッド・ウィリアムソン等のヒーロー達がウェスタンに出演していたり、90年代のブラックムービーのブームの頃にはマリオ・ヴァン・ピープルズが「Posse / 黒豹のバラード (1993)」を作ったり、ブラックムービーを超えたドル箱スターとなったウィル・スミスが「Wild Wild West / ワイルド・ワイルド・ウエスト (1999)」の主演だったり、コメディだったり、セクシー系だったりと、意外にもブラックムービーの歴史の中で時代の特徴を上手く取り入れているのがこのジャンルだったりする。そして1968年、マーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺され、公民権運動がひと段落ついた年に公開された黒人が出演している西部劇がこの映画だ。マルコムXと親交深かったオシー・デイビスがこの映画に出演している。役どころは逃亡奴隷。奴隷で西部劇といえば、やっぱり「ジャンゴ」だ。だから一番最初に気になったのだ。
とは言え、主役はジョーを演じたバート・ランカスター。名優。社会派シドニー・ポラックが監督。バート・ランカスター演じたジョーは、正義感の強いゴリゴリのリベラルなんでしょ!と見る前は思ってたんだけど、全然違う。そこでまず驚かされました。逆に差別的に思っていた男が変わっていく様が面白い。ジョーは狩りをして、その毛皮を売って生活している。家に帰る途中で、間違ってネイティブアメリカンのカイオワ族の支配地に踏み入れてしまって、せっかく取った毛皮を取られる。その代わりに、他の部族から貰った黒人奴隷をやるよ!と、強制的に取引されちゃう。その黒人奴隷ジョセフが、オシー・デイビス。この役にピッタリ。本が読めて、博識がある奴隷。なので、逃亡奴隷だとばれると売られてしまうので、「自分はコマンチェ族の者だ!」と嘘をつく。そういえば、黒人でもその辺で歩いていても怪しまれないと思った訳だ。しかし、ジョーにはそんな嘘はお見通し。とりあえず、カイオワ族から毛皮を取り返すから、手伝えと強制的にジョセフは連れていかれる。それが済んだら、ジョーはジョセフを売るつもりだった。しかし、カイオワ族は「スカルプハンター」達に襲われ、殺された。スカルプハンター達は、ネイティブアメリカンの頭皮を剥ぎ取り、政府はそれを25ドルで買い取っていたのだった。しかもジョーの毛皮も持って行ってしまう。そのスカルプハンターのリーダーのジムを演じたのがテリー・サバラス、そのジムの彼女ケイトを演じたのがシェリー・ウィンタース。名優揃い。そのスカルプハンター達を崖の上から見張っていたジョーとジョセフだったが、ジョセフが崖から落ちちゃって、ジムに見つかる。捕まえられてしまう。でもケイトが口を滑らせて、彼らはメキシコに向かっている事を知るジョセフ。奴隷にとってメキシコは奴隷制度が禁止されている安全な場所だった。上手いことケイトに駆け寄り、メキシコに連れて行ってもらう事にするジョセフ。それからは、ジョーが一人でスカルプハンター達に対抗するんだけど、崖から岩を落とすシーンは「風雲たけし城!」ぽくて面白かった。そしてジョセフが両方を手玉にとっていく様も面白い。いつの間にか、スカルプハンターにとってもジョーにとっても、ジョセフが必要になっていくんです。しかもジョセフ自身も成長していくんですね。
さすが、シドニー・ポラック!見事。「ジャンゴ」みたいな爽快な復讐劇じゃないけれど、頭で勝ったジョセフもかなりカッコいい。コミカルに演じているんだけど、馬鹿げた滑稽という感じではないし、アンクル・トム的からどんどん変わっていく様は、さすがオシー・デイビスという所を見せてくれた。最後もジョセフとジョーは西部の男的なやり方で拳で確かめ合い、そして無知だったジョーがジョセフの最後の台詞の機転の利いたアイデアによって2人は固く結ばれる。
西部劇としてもカッコいいシーンが多い。スカルプハンターの一人が、馬から降りた事をばれないように、降りるシーンとかカッコいい。もう本当にシェリー・ウィンタースも素敵過ぎ!
(4.75点/5点満点:1/27/13:DVDにて鑑賞)