この映画の存在を知った時から気になっていた作品です。DVDになって速攻で手に入れました。想像以上でしたねー。
シカゴの高校に通う4人の高校生にスポットライトを当て追った作品。4人はそれぞれ全く異なった環境で、それぞれ別の高校に通っている。でも彼等4人が目指すのは、ポエトリースラムの「ラウダー・ザン・ア・ボム」で優勝する事。スタインメッズに通うのがラマー・ジョーダンで19歳。という事は、どこかの学年で留年してるのかな?スタインメッズは黒人が多い学校。学校も恵まれている訳じゃない。荒れた学校です。でも、この学校が前年度の優勝者。ラマーはそこの中心的存在。そしてオーク・パークに通うのが、ミックスのノヴァ。彼女はあんまり人と関わろうとはしなかった。でも詩に出会い、自己表現していくうちに人々と関わるようになる。彼女は家庭が複雑。小さい時に両親が離婚。弟が居るが障害者。働いている母の代わりに、小さいノヴァが弟のオムツを替えたりしていた。そしてホイットニー・ヤングに通うのがネイト・マーシャル。ちなみにこの高校はミシェル・オバマも通っていた高校。彼は成績優秀。詩をやりながら、ラップもやったりする。でもその彼もまた家庭ではトラブルを抱えていた。生まれた時に両親は、麻薬中毒者だった。お婆ちゃんに育てられ、そのお婆ちゃんから本を読むことを教えてもらう。そして最後はノースサイドに通うユダヤ系のアダム。この学校は一番裕福。ノースサイド・カレッジ・プレップというのが正式名なので、大学への準備高という事で、私立かと思って調べたら、公立ではあるけれど選ばれた人だけが通えるエリート校。アダムはこの大会が大好きで、全部に顔を出す位。多分一番この大会を楽しんでいる。風貌はショーン・ホワイトみたい。ロックスターと、みんな彼を称する。
で、4人を次の大会まで追うのです。スタインメッズは優勝したという驕りもあるのか、今回は中々みんなが1つにまとまらない。スタインメッズはいちようラマーを追っているけど、みんなが個性的。でもそれ故にまとめる先生は大変。その中でもやっぱりラマーが一番の中心的存在。彼と別の2人がミーティングに遅れてやってきた。その前からちょくちょく怠けている部分が見えたので、先生は3人をチームから追放する事を決意する。3人にその事を告げると、3人は悔しそうに涙を浮かべながら謝る。そこから少しずつスタインメッズは前年度の情熱を取り戻していくんですわ。青春ですよー。若者は何でもいいから熱中するものがあれば、悪い方向なんかに向かわないって言う証拠。
この映画で私が思わず惚れたのが、ネイト・マーシャル君ですね。彼等が詠む詩はそれぞれ個性的。ラマーは社会的にその若者独特な怒りを詩にぶつけていく。なんというか、リル・ウェイン的。ノヴァは、自分の置かれた状況を生々しく語っていく。ビリー・ホリディを思わせる。アダムは頭がいいのが分かるインテリ。機知にも富んでいる。エミネムかな?で、ネイト・マーシャルは、キッド・カディとかフランク・オーシャンぽい。ユーモアもあるけど、力強いメッセージ。彼が最後の大会の最後に詠んだ詩「Look!」は、詩人としての自分自身と、それ故の苦悩、そしてこの大会への思いをつづっている。ちなみに、この大会の模様は2008年のもの。4人共に大学に進みたいと語っていたが、実際にみんな大学に進み今年卒業。ただラマーだけは「2013」になっていたので、また留年したのかな?でも卒業するみたいなので偉いです。ネイト君は本当に優秀で、ヴァンダービルト大学を卒業です。
スポークン・ワーズは「Love Jones / ラブ・ジョーンズ (1997)」で取り上げられてから、物凄く人気。この映画でも沢山の黒人の若者がこの世界に飛び込んでいる事が分かった。スタインメッズの4人のグループで披露した詩なんて凄い。ダズンズにラップにと、黒人は言葉選びが上手いわ。
(4.75点/5点満点中:4/4/12にDVDにて鑑賞)