タイトルではなんの映画が全く想像出来ないですよね。私もタイトルだけだったらスルーしていたと思う。アイザック・ニュートンが引用したことで有名になった格言「Standing on the shoulders of giants(巨人の肩の上に立つ)」から取っている。どういう事かというと、「過去の研究や思想等を理解する事によって、新しい未来の研究成果が生まれる」という事。まあその格言知っていたとしても、何の映画か分からないよね。
ポスターが(小さい写真だけど)右上のような写真。そうバスケットボールの映画なのです。絵のモデルになっているのは誰か分かるかな?バスケ好きには手の感じでピーン!と来ますね。スカイフックと言えば... そうあのパム・グリア嬢の元彼氏、いや、ブルース・リーと戦ったあの男!カリーム・アブドゥル=ジャバー氏であります。さすが、バスケ界で一ニを争うインテリ。ニュートンの有名な言葉をタイトルにしちゃいますよねー。映画自体はそのタイトルのような小難しい感じかと思ったら、全然違う!さすがインテリ、分かりやすく描いておりますよ。というのも、元々カリームが書いた本が原作なのです。内容は、バスケットの過去の巨人の歴史について紐解いていく。彼が追ったのは、NBA発足前に存在した黒人バスケットボールチームについて。そのチームはハーレムルネッサンス時代に、ハーレムに存在していた。その名も「ニューヨーク・ルネッサンス」。通称「NYレンズ」。このチームはなんとオーナーも黒人。そのオーナーのボブ・ダグラスは、「Malcolm X / マルコムX (1992)」でも描かれていたようなダンスをするボールルームで、観客にバスケットを見せていたという。バスケが始まる前にダンスを見せて、そしてお酒も飲めて、そしてバスケの試合を見せて、なんと55セント。NBAという組織がまだ無かった為に、全米で技を争う事が無かったが、それでもこの「NYレンズ」が出来てからは、そのバスケットの歴史も変わっていく。スピード感が全く違ったのだ。しかし、時代はまだまだ白人と黒人が一緒に戦う事を許していなかった。当時、全米で人気があり強かったのが、後のボストン・セルティックスとなる、オリジナル・セルティックス。しかし、両者が強さを強調すればするほど、人はその2つのチームが戦う事を見たくなるものです。なんとか実現するのです。しかし最初の試合では、レンズは負けている。その後には世界恐慌がアメリカを襲い、レンズも存続をかけて、全米にツアーに出るようになる。その間には、セルティックスとレンズが戦うようになり、両者のチームメイトは友情を築いていくのです。そこで行われたのが、1939年のワールド・バスケットボール・トーナメント。その頃には、あのハーレム・グローブトロッターズも発足されていて、このトーナメントに出場。黒人チーム同士がトーナメントで争う事も、観客の関心を引いたのです。まあ、そうしてどうなったかは、このドキュメンタリーで見て欲しい。カリーム、見せるよー。
そしてこの映画のポスターだけでなく、劇中でもアニメで再現していたりする部分が多い。その絵を担当したのが、ジャスティン・ブア(Justin Bua)。思いっきりアーニー・バーンズに影響されているのが一目で分かります。私の一番好きな感じです。
そしてカリームも人脈もあって、インタビューに答えている人がまーーあ豪華!伝説レベルでは、ビル・ラッセル、チャールズ・バークリー、ドクターJ、クライド・ドレクスター、ジェームス・ウォージー等。オーナーレベルの人も多数出ているし、スパイク・リーにチャックDにマヤ・アンジェロウにコーネル・ウエストまで出演。コーネル・ウエストとは、当時ボールルームがあったシュガーヒル一帯を歩いている。また現役のグランド・ヒルにカーメロ・アンソニーまで出演。ナレーションはジェイミー・フォックス。そして、この「ニューヨーク・レンズ」に所属していたジョン・アイザックもインタビューに答えている。彼はこの撮影後に他界したので、この映画の完成を見ていないらしい。でもインタビューではハキハキと答えていたのが印象的。
オープニングからビル・ラッセルがシカゴ・ブルスのオーナーやレイカーズのオーナーと「俺のチームの方が凄い!」とそれぞれやりあっているのが面白い。
他にもここに書いていない歴史的な事実などが沢山詰まっております。カリームのバスケへの愛と情熱を非常に感じますね。
(4.5点/5点満点中:2/23/12にDVDにて鑑賞)