ブラックムービーかと言えば違うかもしれないし、ブラックスプロイテーションかと言えば違うかもしれない。いや、でもそうなのかもしれない。微妙な映画です。でもやっぱり黒人女性だったから...とも思える作品です。タイトルのエディはプレスリーを真似した白人男性ですが、その男に異常なまでに好かれてしまう女性が黒人女性。レスリー・アガムズというトニー賞やエミー賞にも輝いている多才な女優。その彼女が演じるのが、ダイアナ・ロスを思わせる人気女性シンガー(本当はアガムズ本人ぽいのだけど)。アメフトの大舞台スーパーボウルで国歌を歌う程の人気歌手。その女性が「一人でのんびりしたい」と、車で一人で南部へと向かう。はい、ここでもう危険。この前、丁度友達とこの話になりました。南部の周りに木しかないような一本道で車が壊れたら、ちょっと奇妙な人たちが出てきて、大きなショットガンだよね。と。そんな王道ホラーなんだけど、これがまた薄気味悪い。後味悪ぅーー。
ま、特記するとすれば、キャスティングの良さね。レスリー・アガムズは先に書いた通りの名女優。そしてシェリー・ウィンタース。「ポセイドンアドベンチャー」とか大好きです。名女優の一人。なんだけどなぜか「Cleopatra Jones / クレオパトラ危機突破/ダイナマイト諜報機関 (1973)」ではクレオパトラに平手打ちされたりしてましたよね。若い頃は可愛かった。なんであんなに駄目オバサン役なのに悲哀が出せるんだろう??凄い。そして「アダムス・ファミリー」等で知られるテッド・キャシディ。もう彼はこういうホラー映画の為に生まれてきた感じ。しかしこの3人がなぜにこの映画に出たのか、謎。
しかしこの映画、幾度となくタイトルを変えてビデオ発売されてます。そのタイトルを見ていくだけで、どんな映画か分かると思います。オリジナルは「Poor Pretty Eddie」→「Heartbreak Hotel」→「Black Vengeance」→「Redneck County Rape」ですよ。ビデオカバーの歴史はここで見れました。そしてポスターの歴史はこちら。「Black Vengeance」の頃のカバーの女性はレスリー・アガムズじゃないし、80年代末期から90年代初期を思わせる雰囲気。というか、オリジナルタイトルが一番皮肉。主役のエディが一番どうしようもない奴。可哀想なんかじゃないもんね。でもこのタイトルはシェリー・ウィンタースが演じた役の感情でしょうね。
70年代のサイケデリックな雰囲気を少しだけ出してはいるけれど、それ以上に薄気味悪さが気持ち悪い。と、いうかこういう話、最近でもあるじゃないですか。何年も監禁しちゃう事件。やっぱりアメリカの森の中の一本道を一人でドライブだけは勘弁ずら。
(3.5点/5点満点中:DVDにて鑑賞)