Sucker Free City / 日本未公開 (2004) (TV) 149本目
スパイク・リーの映画なんですが、らしいというか、らしくないと言うか... スパイク・リーにしては珍しく舞台がニューヨークじゃなくってサンフランシスコ。ドキュメンタリーならニューヨーク以外もありましたが、普通のドラマ作品で町が主役となる場合、スパイクとしては珍しいのではないのでしょうか??しかもヤクザな世界を描いています。ストレートなギャング映画もスパイクには珍しいですよね。黒人と中国系と白人の3人の青年が主役です。黒人はギャングで中国系はマフィアですが、白人だけがどこにも属さず...普通に大きな会社で働いていますが、会社の中でも一番下。父親がカメラマンで貧乏なんです。でも悪い事もちょこっとしてます。白人だからイタリアンマフィアという単純な公式じゃないのも面白いと思いました。サンフランシスコが舞台なのも影響あるんでしょうね。で、普通だったら権力のある白人もここでは権力が弱い。黒人のコミュニティに住む事になったので、力関係で完全に負けています。難しいくて細かい部分はスパイク・リーの映画なので何せ沢山ありますが...一言で言ってしまえば、面白いです。でもShowtimeというテレビシリーズ化する予定だったんですが、パイロット版となる2時間が映画として放送。その後テレビシリーズが作られる事もなく... Showtime内での評判が良く無かったらしいんですが、何でー!って感じです。確かにラストは完結してない感じは受けました。でもそれはきっとシリーズ化すると思っての事だろうし... もう一つ気になるとしたら、中国語の時の英語字幕がバックの色や光の具合であんまり読めなかったという事。字幕に慣れている私でそんな感じなので、字幕に全く慣れていないアメリカ人には読み取り不可能かと... その他は気になる所なんて無かったのに...テレビシリーズ化されなかったのは残念。面白かっただろうに。
サンフランシスコで黒人の歴史というと、オークランドとかブラックパンサー党しか浮かんでこないんですが、サンフランシスコ内にも様々な歴史があって黒人コミュニティもあるんですね。そういう部分を歴史から取り上げているのが、さすがスパイクだなって思いました。とは言え、この脚本家はサンフランシスコ出身の中国系のアレックス・ツェーです。これからの人なんですよね。ここに来て新作が続々と決まっている人です。その影響か、スパイクらしい一辺倒さが無かった。いつもとちょっと違うなって感じます。
主役のアンソニー・マッキーとケン・レオンの2人が際立っています。アンソニー・マッキーが演じたギャングスタは子供やお婆ちゃんを面倒見る情が溢れていて人間らしさもあれば、ビジネスマンとしての素質もあったりして、ギャングスタである事に勿体ないなって観客に思わせる男。環境は人をダメにするわと思います。スパイクが「She Hate Me / セレブの種 (2004)」に続いて主役に使ったのも分かります。お婆ちゃんやジム・ブラウン演じる中年男性との関わり方とギャング仲間や他の人達との関わり方の違いとか、上手いんだ。ケン・レオンは中国マフィアの中間管理職というか...力はあるけれど、1番にはなれない。これからも慣れる可能性もあるけれど、難しいだろう人。トップの人から見たら、彼等の捨て駒でしかないんでしょうねー。だからこそトップの物をそして手に入らないものを欲しがってしまうんでしょうねー。
しかし「Jim Brown All American / 日本未公開 (2002)」で一緒に仕事して以来、スパイクの映画ではジム・ブラウンはいいオジサンになってるわ、
感想はここ。
(4.75点/5点満点中:DVDにて鑑賞)