Good Fences / 日本未公開 (2003) (TV) 148本目
見たいと思いつつ...長年棚に寝かしておいた作品です。というのも、この映画を知ったのはこのDVDが発売されてすぐ頃。DVD売り場を彷徨っていた私の横で2人の黒人のお姉さま方(30代後半か40代位かな?)の会話で「この映画中々面白かったわよ」というのを小耳に挟み、気になったので横目で盗み見したのがこの映画との出会いです。あれ?ダニー・グローバーとウーピー・ゴールドバーグじゃん...
でも中々見ずに、ずっと寝かせてしまいました。ワインじゃないんだから置いた所で深みが増す訳でもないんですけど... でも今回、ちょっと思う所と理由があってやっと見ました。長い歳月でしたわね。こんにちは。
そうなんです、さっきはアッサリと書いてしまいましたがダニー・グローバーとウーピー・ゴールドバーグが主役。しかも夫婦役...と言えば...そうです「カラー・パープル」ですね。ミスターとセリーコンビなんですよ。この映画は面白い位に「カラー・パープル」の設定とは真逆なんです。このDVDのジャケットは、有名なアメリカンゴシックの絵画のパロディ。農夫と妻を書いた作品(実際のモデルは夫婦でもないし農夫でもないらしいが...)。ゴードン・パークスは写真で同じアメリカンゴシックを撮ってました。今回はミスターとセリーが豪邸をバックにミスターがリッチな人々の趣味の代名詞とも言えるゴルフクラブ持ってます。それだけでも面白い。しかもこの夫婦がやたらと仲が良いんです。ミスターがセリーにトコトン優しい。仕事だって家庭の為に、怪しい事までしてしまうんですよ。仕事と言えば、今回は弁護士役。設定が1970年代なんです。しかもコネチカットが舞台。ダニー・グローバーの演じるトムが弁護士として成功し始めて、高級住宅街に引っ越してきてから少しづつ変わり始めます。と言っても、ウーピー・ゴールドバーグ演じるメーベルが慣れない環境ながらも馴染もうと努力して感覚が麻痺してしまう。夢に見たような大きなキッチンにふかふかした絨毯に、メイドまで... なので慣れようと努力はするんですよね。回りの白人の人々も黒人が珍しいから、逆にチヤホヤしてくれる。でも逆に実家の集まりに行っても居心地の悪さを感じてしまう。慣れない生活にも慣れ始めた頃に、隣に黒人のルースという女性が引っ越して来てしまう。宝くじを当てた女性で、トムやメーベルと違って、その環境に慣れようなんて最初から思ってない。トムとメーベルなんて、近所に自分達のバプティストの教会がないから別の教会に通う程だし、感謝祭だって周りの白人の家庭となんら変わりない。2人には2人の子供が居るけれど、感謝祭なのに家に居たがらない。でもルースはその隣で野外BBQを盛大にやってしまう。トムは窓から覗き込んで「これがキング牧師の夢だというのか!」と嘆いてしまう。そのシーンが面白くて... 後、70年代の設定なので、家族全員で「ルーツ」を見ているんです。黒人である事に全く興味のない娘は白人向けの雑誌を読んでいてテレビを見やしない。トムはトムでクンタキンテが白人の男に鞭を打たれながら「お前の名前は今日からトビーだ!」と言われても、何度も「クンタキンテ」と言うシーンで、トムは怒って目を背けてしまいます。この映画の中では中々面白いシーンではあるんですが、これは実際にうちの夫もダメなんですよ。居るんですよ、本当に。
中々面白い皮肉映画。でも...日本人女性がとってもセクシャルな役柄だったので、ムカつきました。しかもこの映画スパイク・リーの「40 Acres & A Mule」が制作していて、スパイク・リーもプロデュースに加わっています。監督はスパイクの古くからの仲間で「Juice / ジュース (1992)」のアーネスト・ディッカーソン、そして脚本は「The Tuskegee Airmen / ブラインド・ヒル (1995)」のトレイ・エリス。こんなブラックムービーの精鋭達がよってたかって日本人女性をあんな風に描くのは悲しくて仕方ない。彼女の台詞だって最低だよ。
感想はこちら。
(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)