週末、何だか血沸き肉踊るような肉々しい映画が見たくて手に取った。ジム・ブラウンだ。しかも共演が70'sビューティのブレンダ・サイクス。そしてバーニー・ケイシー。そして1972年。
最初の5分見て、ピンと来た映画がある。「Across 110th Street / 110番街交差点 (1972)」である。最初はその映画の真似だと思っていた。朝起きてみて、調べてビックリ。なんと全く同じ時期に作られて、公開されている。公開日なんて1週間違い。逆にこの映画が1週間早かった。違いは、この映画がロサンジェルスが舞台なのに対して、「110番街交差点」はニューヨークという違い。でも両方共に、大都会のリッチな人々が住む世界と、ゲトーな世界が出てくる。両方に悪は存在している。そして最後は派手なダイナマイトなアクションが繰り広げられる。でも両者の作品は全く異なった印象。それは、サントラだったかも。「110番街交差点」にはボビー・ウーマックの不朽の名作「Across 110th Street」がありますからね。それには敵いません。後、「110番街交差点」は哀愁のある大人な印象が残るのですが、こちらにはそんなに。アクションがちょっと雑。でも、ストーリーは中々です。最後のラストシーンがエラくカッコいいです。アクション映画でのあの終わり方はあんまり見た事ないですが、凄い素敵です。私は好きですけどね。自分の行動にちゃんと責任を取っている。そういう点で大人の哀愁はありませんが、さわやかな大人を感じます。
そして同じなのが、ブラックパンサー党を思わせる活動的な政治組織が出てくるんです。両方共にベトナム帰りの人々が多い。ベトナムから帰ってきて、軍事的な訓練を受けた人達が銃を持って地下活動をするんです。両方共に、ベトナム帰りの人々にとって社会からの疎外感を感じ、組織が彼等にとっての居場所にもなったんでしょうね。この映画の製作された1972年頃にブラックパンサー党は世の中にインパクトを与えていたんでしょうか?この頃にはかなりFBIとかに睨まれて活動が厳しかった時代だと思うのですが、この頃には逆にそれだけ知名度もあったという事でしょうね。
そしてこちらも登場するのが黒人の警官と白人警官のコンビ。「110番街交差点」とまたかぶってます。こちらは黒人警官の方が上司。熱血漢です。この2人の最後も普通とは違っていて面白いです。
そして「110番街交差点」が「革命児サパタ」でオスカーの助演を取ったアンソニー・クインなら、こちらは「エド・ウッド」でオスカーの助演を取ったマーティン・ランドーが出演している。
本当にそっくりなんですわよ。でも印象とかは全然違うと思います。
ま、明らかな違いは、こちらの映画にはジム・ブラウンの影響なのか、当時人気のNFL選手が多数出ています。共演のバーニー・ケイシーは俳優としての活躍の方がもう有名かもしれませんが、いちよう元NFL選手。ブラックパンサー党に関係していたジョージ・ジャクソンを演じた「Brothers / 日本未公開 (1977)」や、後はウェイアンズ兄弟の「I'm Gonna Git You Sucka / ゴールデン・ヒーロー/最後の聖戦 (1988)」でも有名。後に「The Black Six / 日本未公開 (1974)」等にも出ていたジーン・ワシントンやディーコン・ジョーンズまで。ジョーンズは本人として出ているので、台詞にトレードされたサンディエゴに行くという台詞まであります。
あ、忘れそうになった。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で主演のマーティーのパパを演じていたクリスピン・グローバーの実のパパが悪役として登場しています(ちょっとややっこいいかな)。顔がそっくり。マーティーのパパはイジメられっ子のナードだったけれど、パパはちょっと差別用語バリバリの気狂いの悪役なんです。でもそっくり。
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(4点/5点満点中:DVDにて鑑賞)