Cast >> Kerry Washington (Patricia Wilson), Anthony Mackie (Marcus Washington), Jamie Hector ('DoRight' Miller), Wendell Pierce (David Gordon), Novella Nelson (Eloise Johnson), Tariq Trotter (Bostic Washington) ...
Director >> Tanya Hamilton
Writer >> Tanya Hamilton
Producer >> Sean Costello, Ron Simons
Genre >> Romance
Country >> USA
Release (US) >> 12 / 03 / 2010
総合ポイント >> 5/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 5 Direct >> 5 Music >> 5
We are verily guilty concering our brother
1976年のフィラデルフィア。若いジミー(アマリ・チートム)はブラックパンサー党員で今は弁護士の従姉妹パトリシア(ケリー・ワシントン)と夫の弁護士の家に世話になりながら、缶を集め白人のハリソンに売っていたが、急にお金を減らされたり、地元の警官から嫌がらせをされたりとイライラしていた。そんな時、パトリシアと一緒に活動していたマーカス(アンソニー・マッキー)が牧師である父の死の知らせを受け、久々に地元に戻ってきたが、それを知った元仲間のドゥエイン(ジェイミー・へクター)はマーカスを執拗に「密告者」呼ばわりするのであった...
実際にあった話ではないが、本当にあったんじゃないかと思わせる程にリアリティと説得力のある細部に拘ったドラマだ。下手にナレーションなどつけずに物語や主人公の背景は、台詞や画面によって徐々に明らかにされていく。しかも美しくそしてノスタルジックに。現代のフィラデルフィアで撮影された筈の映像が、見事なまでにザ・ルーツの曲と共に1976年が甦っている。画面に映る聖書の一節からブラックパンサー党の書物から俳優の表情から短い台詞までに至る細部がこの映画を形成していく。その細部が実に繊細で美しい。
そして物語は1976年。ブラックパンサー党が勢力を弱めていた頃。そしてジミー・カーターが大統領になる選挙が盛んに行われていたが、アメリカ国民の多くはヴェトナム戦争が終結し心を痛めていた頃である。行き場の失ったパンサー達が心痛めて、過去と向き合う。ここで描かれている複雑な人間関係や警官等との繋がりは、現在になって明らかになっているパンサー達の当時の状況に繋がるものがあり、素晴らしい演出と演者の情熱によってこの物語が現実にも見えてきてしまう程にパワフルである。
しかもそれらを成熟した大人の哀しい恋愛を取り入れた事で、観客達はさらに一歩踏み出して感情移入出来る事になる。そして細部に拘ったからこそ、観客は見終えた後にジックリ考えさせられてしまう。それは日を追う毎に更に感傷的になる。素晴らしいパワーを持った美しく哀しいラブストーリーは10年に一度あるかないかの秀作である。
(11/2/10:iTunes先行レンタルにて鑑賞)