Brother John / 日本未公開 (1971)
Cast >> Sidney Poitier (John Kane), Will Geer (Doc Thomas), Bradford Dillman (Lloyd Thomas), Beverly Todd (Louisa MacGill), Paul Winfield (Henry Birkart) ....
Director >> James Goldstone
Writer >> Ernest Kinoy
総合ポイント >> 4.75/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 5 Direct >> 4 Music >> 5
Jesus Walks with Poitier
アラバマの町で町医者をしているトーマス(ウィル・ギア)は、生まれた時から見ているサラの命が短い事が分かった。サラには、ジョン(シドニー・ポワチエ)という兄が居て、彼もまたトーマスによって取り上げられた赤ちゃんの1人だった。ジョンは、16歳の時に町を出てから行方は誰も知らなかったが、家族の死が近いと誰も知らせていないのに戻ってくるのを、トーマスは感づいていた。そのことを、トーマスは息子であり検察官であるロイドに伝えた。そして今回もジョンは戻ってきた。ところが町の大きな工場が黒人労働者のストライキに直面しており、ジョンが疑われ、ロイドやシェリフ達は捜査を進めるうちに、ジョンが多くの国に滞在しているパスポートを見つけた...
とってもミステリアスなドラマ。その中に公民権時代の南部での黒人の苦境をシニカルに描いていると思う。黒人活動家=社会主義者というステレオタイプを映画では、上手く茶化している。
はっきり言おう、最後までシドニー・ポワチエが演じたジョンが、どういう人?者?だったのかは、分からないようになっている。ある者は、ジーザスと言うだろうし、ある者は天使と言うかもしれない。キリスト教の存在を感じさせる言葉が出てくるが、実際はもしかしたら宗教を超えているただの万物の霊長かもしれない。その姿がシドニー・ポワチエ。面白い。彼の今まで以上に落ち着いた、そして堂々と話す姿には、確かに何か違う存在を感じてしまう。
また舞台が南部の町なので、閉鎖的な部分、そして南部が抱えた問題にも、物語に組み込ませて、ポワチエが演じた何者か分からないジョンにそれを直面させたのは興味深い。それは、ジョンという人物が世界各地の悲しい出来事に直面してきたからだ。世界の出来事と南部での出来事を同じように捕らえた製作者等に、前進したものを感じとれる。
彼の多くの名作の中にこの作品は埋もれてしまっている感じがあるが、70年代にジーザスかもしれない...という人物に、ポワチエが挑んだ。それは大きな出来事であり、ポワチエの姿に偉大な歩みを感じる。
(9/21/07:DVDにて鑑賞)