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本家劇団ひとりロジャー・グーンヴァー・スミスが蘇らせた死者からの叫び『ロドニー・キング』

という訳で、『A Huey P. Newton Story / A Huey P. Newton Story (2001) (TV)』に続けて主張の強いロジャー・グーンヴァー・スミスの独り舞台の作品を。今度は、92年ロサンジェルスの街を炎が包み込んだロサンジェルス大暴動の発端になったロドニー・キング事件のロドニー・キングになりきった独り舞台を。

911(日本の119番)の電話の声が聞こえる。ロドニー・キング(ロジャー・グーンヴァー・スミス)が語り始める...

前回のヒューイ・P・ニュートンの独り舞台は、アメリカの公共放送局PBSで放送されたが、今回はNetflixの独占配信。そんな所にもとても時代を感じますよね。前回から16年後、時代は変わります。しかし、スミスの早口は相変わらず!Twistaも真っ青な早口ラップにも聞こえてくる。職人技である。実際のヒューイ・P・ニュートンは早口じゃないけれど、ヒューイの頭の回転の速さとか良さを表すのに、早口はとても適していたと思う。でも残念ながらロドニー・キングは普通の男で、「(人種関係なく)みんな仲良くできないかな?」の答えでも分かるように、頭も普通だったと思うので、早口は似合わなかったかもしれない。そして今回はNYのイースト・リバー・パークの野外ステージでの公演で、観客よりも高い位置のステージで観客とは距離がある。なので、前回と大きく違う所は、観客を巻き込めていない所だ。舞台映像らしい観客との一体感が見れなかったのが残念。そして会場がNYじゃなくてLAの方が面白かったかもしれないと感じた。スパイク・リーの演出も今回は映像の3分割位で、いまいち冴えていない。

それでもキングは「最初のTVリアリティスター」とか「OMG! OMG! OMG!」とか面白かったし、ゲトー・ボーイズのウィリーDとかラッパーの名前が沢山出てくるのも面白かった。「俺はデ・ラ・ソウルが好きで、N.W.Aが好きなんて思っていたら、それはLA出身だからっていう陳腐な考え方さ」とか、やっぱり興味深いセリフは沢山あった。

そして時代に沿って、ロドニー・キング事件以降も問題になっている人種の差による警察の執拗な暴力問題も描いている。この作品の最後のセリフ「I Can't Breathe」は、2014年7月にNYの道端で違法タバコを売っていた容疑で警官に首などを締められ亡くなったエリック・ガーナーの最期の言葉としても有名だ。ただ、この舞台はその直前から公演していた様子。でも当時のレビューを頼りにすると、舞台の最後のセリフは「Can we all get along?(みんな仲良くできないかな?)」だったそうなので、その後に付け加えた可能性は十分にあり、むしろその方が自然だ。

ロジャー・グーンヴァー・スミスが蘇らせたロドニー・キングをはじめとする警官からの暴力による犠牲者、そして無念の死を遂げた人々からの悲痛な叫び。そんな舞台だ。

Rodney King / ロドニー・キング (2017) (VOD)(4点:1601本目)