NWA: The World's Most Dangerous Group / 日本未公開 (2008) (TV) 63本目
VH1は来週早々に「Hip Hop Honors」という番組があるので、近頃ずっとヒップホップについての番組が多い。お陰で昨日は一日「The 100 Greatest Hip Hop Songs」と言う番組を夫とあーでもないこうでもないと言いながら見てしまいました。その直後にプレミアされたのが、このN.W.Aのドキュメンタリーです。
N.W.Aと言えば、ギャングスタラップとレッテルを貼られてました。彼等の出現によってラップがよりバイオレントになったと... 日本の音楽ライターでも彼等の事が嫌いな人が居て、目茶目茶に書かれてましたっけ。このドキュメンタリーでは、深いところまで抉ってます。N.W.Aというグループを探るだけで、ロサンジェルスの歴史が見えてくる...アメリカの若者の姿が見えてくる。ロサンジェルスと言えば、やはり90年代のロドニー・キング事件とLA暴動とは切り離せないし、未だに脳裏にしっかりと焼きついている。USC(南カリフォルニア大学)の教授であるトッド・ボイドは「あの暴動が起こる前に、N.W.A等のロサンジェルスのラッパー達は人種間にある緊張感や警官との間にある緊張感を表現していたんだ。」と言う。確かにそれを「Parental Advisory」等で、それを聞くのを拒んだ結果なのかもしれない。彼等は若者の代弁者とかストリートの代弁者とかいうよりも、ただ普通に自分達の周りにある事を表現していたと思う。FBIからの手紙やMTVでの放送禁止決定とかで、彼等の存在を封じ込めようとしていたけれど、彼等の存在を別の形で生かせたかもしれないとも思った。
そしてEasy Eは人生を駆け抜けてしまった感じがした。やり方はまずいが、れっきとしたビジネスマン。自分でレコードレーベルを設立しちゃう辺りのバイタリティは凄い。エイズもあっという間に進行してしまったんですね。気づいてから10日で亡くなるなんて早すぎる。やっぱり人って自分の最期が分かるのかな??あんなに酷い別れ方をしたN.W.Aなのに、Easy Eは再結成をしたがっていたらしい。アイス・キューブに会うと、その話ばかりをしていたそうだ。なんか切なくなる。
このビデオを見ると政治的で凄い。
感想はこちら。
(4.75点/5点満点中:TV放映にて鑑賞)