私が黒人ボンドに拘る理由
イドリス・エルバ主演の『Bastille Day / フレンチ・ラン (2016)』。ツイッターには「『ダイ・ハード』とか『エンド・オブ・キングダム』みたいなちょっとだけやさぐれた男が悪に1人で立ち向かう系の映画が好きな人におススメ」と書きましたが、正式に書くと1人じゃなくて、手助けする人物が現れるので『ホワイトハウス・ダウン』の方が近いのかもしれない。まあとにかく、イドリス・エルバが主演だから観た。逆に書くと、イドリス・エルバが主演じゃなかったら観なかったであろう。と、イドリスと同世代なら大抵の女性はイドリス好きだよね!と言う位、イドリス・エルバには恐ろしい位の魅力が溢れている。
今回のイドリス・エルバは、ちょっと前に任務で失敗した崖っぷちCIAエージェント。今回はテロが多発するパリに飛ばされてきました。でもエージェントとしての才能と腕っぷしは最高級。と、アクション映画では使い古されたヒーロー像。そんな中でテロリストを追ううちに...と、これまたありがちな内容。でも面白かった!なぜか、やはりイドリス・エルバだからだ。しかもこの映画は100%イドリス!主演がイドリスなら、主題歌までイドリスなのだ。とにかく、イドリスの魅力だらけ。使い古された内容や展開にもイドリスだから見続けられる。
イドリスがパリの街の家の屋根を走る。ウィル・スミスのアスリートのような美しいしなやかな走りとは違う。割りとガッチリとした体格なので、ゴツゴツと走っていくタイプ。70年代のブラックスプロイテーションのヒーローで伝説のNFL選手ジム・ブラウンのようだ。大人の男を感じる走り。絶対的な大人の強さを感じる。窮地をチャンスに変える大人の機知。だからこそ感じる大人の色気。全世界の女性を魅了する独特の大人のフェロモン... これこそ、ジェームス・ボンドじゃないのか?イドリス・エルバがジェームス・ボンド役を切望されて何年か経っている。本人もやる気だ。だけど、相変わらず新ボンドは別の人がキャスティングされる。私はその度絶望する。
「ボンドが黒人になる理由が分からない」とか「そんな筈はない」とか「イメージが違う」とか、色々な意見を見かけた。ならば「ボンドが白人である理由」も私は分からない。原作で両親が...という理由位なものだ。逆に、ボンドの両親の故郷であるスコットランドやスイスにも黒人は居る。背が小さくてボンドぽくないと言われたダニエル・クレイグは立派にボンド役を務め、ファンに愛されたじゃないか。
私が黒人ボンドに拘る理由。人種で縛り付ける伝統なんてくだらないから。ジェームス・ボンド役をやればイギリスでは一生俳優として食いっぱぐれはないだろう。晩年には恐らく称号やら勲章も貰える。オリンピックの開会式を盛り上げる程、全世界で知られている世界的キャラクターのジェームス・ボンドだからだ。ロジャー・ムーアは46歳でジェームス・ボンド役に抜擢された。イドリス・エルバ、ただ今44歳。『フレンチ・ラン』ではジェームス・ボンドなフェロモンを全開にして、その時を待っているようだった。
Bastille Day / フレンチ・ラン (2016)(1524本目:4.25点)