Mandela: Long Walk to Freedom / マンデラ 自由への長い道 (2013) 1212本目
やっと観ましたよ。やって来ないのよ...orz 「Pacific Rim / パシフィック・リム (2013)」でめたんこカッコ良かった司令官を演じたイドリス・エルバがネルソン・マンデラを演じた話題作。公開当時はオスカー候補か!と言われたけれど、実際には主題曲だけがノミネート。残念。でも数奇な事にネルソン・マンデラが亡くなった年に、マンデラ系の映画が2本も制作され公開。1本はもちろんその彼が主役のこの作品だが、もう一本は彼の元妻ウィニーが主役の「Winnie Mandela / 日本未公開 (2013)」。その作品でのマンデラ役には、オスカーにノミネートされた事もあるテレンス・ハワード。全くタイプの違う俳優がそれぞれ演じたマンデラ。中々面白い。しかも時代設定もほぼ一緒で、ウィニーとの関係が主軸である。ハワードは「Hustle & Flow / ハッスル&フロウ (2005)」のような繊細な男、そして「The Best Man Holiday / 最高の贈りもの (2013)」のようなその真逆である無神経な男を演じるのが上手い。それに対してイドリス・エルバは人々を動かすリーダー的でヒロイックな役が似合う。「パシフィック・リム」とかTVシリーズ「ルーサー」とか。というエルバが主役のマンデラを!
1942年、南アフリカの首都ヨハネスブルクで弁護士として活躍していたネルソン・マンデラ(イドリス・エルバ)。そして女性にはとにかくモテた。その中からエバリーン(テリー・フォト)と結婚し、子供も生まれた。しかし1948年に新政権が誕生し、法律で人種を隔離していくという「アパルトヘイト」が開始される。その少し前からANC(アフリカ民族会議)の活動に参加し始めたマンデラは、徐々にその中でリーダーシップを発揮していく。しかしその一方で家族とのすれ違いにより離婚。バス停で見かけたウィニー(ナオミ・ハリス)と恋に落ち結婚。ANCが活動をしていく中で、爆発が起きた。その責任として、1962年に逮捕。国家反逆罪で終身刑の有罪となった。1964年から悪名高きロッベン島の刑務所に入り、そして28年間も続く事になるのだった...
まあ長い!タイトル通り。長い道のり。ソロモン・ノーサップの12年も長いけど、マンデラの28年はそれよりも長い。刑務所に入ってない時期だって、差別によって苦しめられていたんだから、本当に長い。でも、奴隷もアパルトヘイトもそんな人道的じゃない政策・法律なんていずれは無くなる。でもそれを46年間続いたのがアパルトヘイト(アメリカ奴隷制度は243年間!!!)。中にはアパルトヘイト政策しか知らないで亡くなった人も多いだろう(アメリカの奴隷に関して言えば、親子4世代位まで奴隷のままで亡くなった)。とにかく長い。そして映画自体も2時間ちょいあるので、その長さを余計に感じる。何というか、テンポが遅くて「とにかく長い!」と感じてしまう。
でもイドリス・エルバの人を惹きつけるパワーは魅力的だった。マンデラがどんどんとリーダー格になっていく様が面白い。そしてテレンス・ハワード版マンデラもイドリス・エルバ版マンデラも、プレイボーイぶりが面白い!ハワードはちょっと危険なハスラー的なプレイボーイ。エルバは、カリスマと大人の魅力のプレイボーイ。まあプレイボーイは政治に向いているからね。
そんなプレイボーイに対して、ウィニー・マンデラを演じたナオミ・ハリスの「私は他とは違うからね!」って言った時がチャーミングだった。
それにしても反アパルトヘイトの活動は血生臭かった事が伺える。マンデラ自身はキング牧師と同じく「非暴力」主義だったが、南アフリカでのプロテストはとにかく死が隣り合わせだったのが分かる。アメリカの公民権運動も沢山の殉死があったけれど、こちらはそれ以上だった気がする。というか、子供とか女性の犠牲者がこちらの方が多いんだよね。
オスカーにノミネートされたU2の曲ばかりが注目されるけど、ボブ・マーリーにギル・スコット・ヘロンにパブリック・エナミーの曲が使われていて、それぞれその時代を反映するいい選曲だった!というか、パブリック・エナミーの「ファイト・ザ・パワー」は、すっかり90年代の黒人のサントラになったな!と思わせる位。1989年の曲だけど、90年代の黒人達の意識とか問題が全て集約されている。あの曲を掛けるだけで十分だ!と思わせる曲になったね、と、この映画での使われ方を観て改めて思う。↓ロングバージョンでどうぞ!ターミネーターXはアメリカで一番学ランが似合う男!
(4点/5点満点中:3/19/14:DVDにて鑑賞)