タイミングが良いというか悪いというか... 世界中がネルソン・マンデラの死を悼む中、アメリカでDVD発売開始されたのが(実際には亡くなる2日前)、そのマンデラの2番目の妻ウィニー・マンデラの自伝映画「Winnie Mandela」。さすがに発売した方もこのタイミングにびっくりしていると思う。マンデラの最初の奥さんや3番目の奥さんの名前を知らない人でも、この2番目のウィニーの名前は大体の人が知っていると思う。しかしこの映画はそのウィニー本人からサポートを得ず、しかも南アフリカでは論争となってしまった作品でもある。ウィニー・マンデラ役にはアカデミー賞受賞女優ジェニファー・ハドソン、そしてネルソン・マンデラ役にはこれまたアカデミー賞ノミネート俳優テレンス・ハワード、監督にはアカデミー賞外国語部門に作品がノミネートされた南アフリカを代表するダレル・ルート。
という事で、ウィニー・マンデラが生まれた所から物語は始まる。南アフリカな壮大な大地にある村で、教師をしている父の元に生まれたのがウィニー。彼女の名前には「神のような存在」という意味もある。しかし8番目の娘で、父は息子を望んでいた。そんな事情もあり、ウィニーは男勝りに育った。教師をしている父のお陰もあって、優秀な生徒となったウィニーは首都のヨハネスブルグの女学校に進学。黒人ながら病院で働く事になる。そんな頃に出会ったのが、ネルソン・マンデラだった。2人は恋に落ち結婚するが、活動家でもあったネルソンとの結婚は最初から波乱に満ちていた。警察は執拗にネルソンを追い詰め、国家反逆罪で終身刑を言い渡され、人里離れたロベン島の刑務所に収監された。そしてそのネルソンの意思を継いだウィニーも警察から目を付けられ、自身も刑務所に入る事になり...
と、割と普通な自伝映画ではある。ウィニーには割とスキャンダル的な所もあり、そしてウィニーが存命中なので、そこに鋭く突っ込めなかった印象もある。それもあって、凄いメンバーが作っているのに、あまり話題にもならず、話題になったといえば、ウィニー本人がこの映画に対して不満を抱いたという記事だけ。ウィニーはアメリカのジェニファー・ハドソンが自分を演じる事に不満を持っていた。そのジェニファー・ハドソンは、クールで強いウィニーを演じておりました。クール過ぎないか?という位クール。肝が座りすぎていて、貫禄あり過ぎな感じ。女学生時代のウィニーの時は、もうちょっとキャピっとしていても良かったかも??というか、していて欲しかった。ネルソン・マンデラがモーションかけてきても、クール。カッコいいけどね!
ネルソン・マンデラが刑務所に居なければならなかった時に、ウィニーの身元を守るために近所のサッカーチームがセキュリティを兼ねていた。そこのコーチとは噂になったりもして、もちろんネルソン・マンデラの耳にも入るようになる。そしてそこに所属していた男の子が殺されているのが発覚し、ウィニーも渦中の人に。でもそこは割とサッと描かれている。在命中だと、そういう所があやふやになるよね。っていう...
テレンス・ハワードのネルソン・マンデラは、マンデラが女性にモテただろうという部分と人を惹きつける魅力、そして全てにおいて器用でハスラー的な部分が上手く引き出されていた。泣かないで!と思った所で、また泣きの演技を見せそうだった...けど、あれでも十分我慢しただろうね。
それでもウィニー本人は納得いっていない。それもあって、ラストの着地点もぼんやり。あれ?それで終わり??みたいな。でもダレル・ルートの撮るアフリカの広大な大地を感じる映像は健在。お約束の冒頭と、2人の結婚式でそれが感じられれる。
Pest in Peace, Tata. Amandla!!
(3.75点/5点満点中:12/15/13:DVDにて鑑賞)