「ノー・マス事件」が知られているパナマが生んだ稀代のボクサーであるロベルト・デュランの半生が描かれている作品。ノー・マス事件については、ESPNが30 for 30で『"30 for 30" No Mas / NO MAS 〜世紀の再戦とその結末〜 (2013)』としてドキュメンタリーになっているので、詳しくはそちらのエントリーを参照されたし。でもいちよう簡単に説明すると、前戦でウェルター級王者を掛けて、王者であるシュガー・レイ・レナードと対戦。なんとデュランが見事に勝つ。シュガー・レイは再戦を希望し、すぐさま、その座が設けられた。しかし、王者であるデュランはその対戦中に「ノー・マス(ノー・モア)」と言い試合を放棄してしまった事件(しかしデュランはノー・マスとは言っていないと主張している)。
というロベルト・デュランの物語を、トレーナーであるレイ・アーセルとの関係を軸にして語られている。ロベルト・デュラン役にはエドガー・ラミレス、レイ・アーセル役にロバート・デ・ニーロ。で、対戦相手となったシュガー・レイ・レナード役に歌手のアッシャー。パナマの貧しい家庭で育ったロベルト・デュランの立身出世物語。パナマの情勢とデュランの人生が交差していくのもあって、それも面白い。最初のトレーナーであるプロモとの出会いも面白くて好き。そして、シュガー・レイを倒してチャンピオンになってからの、壮絶なイキがり方も酷くて面白い。そしてすぐに転落する様とかもね。こんなにすぐに転落する人は『しくじり先生』でも見た事ないわ!と思ってしまいます。その転落ぶりは下世話で自分が性格悪い事は理解しているけど、映画で観る分にはやっぱり面白い。デュランが見た事ないアメリカ人の自分の父を「ポール・ニューマン似」だと信じていた所とかも好き。
デュラン役の奥さん役のアナ・デ・アルマスがとても可愛い。のに、サービス満点で、余計に可愛い!デュランの成功と共に、衣装がドンドン派手になっていくのも良かった。しかも80年代らしい趣味の悪さで。アッシャーは、シュガー・レイのアイドルで優等生的な所をもうちょっと引き出して欲しかったかな?でもラストでは優等生ぶりの片鱗を見せてくれていた。やっぱりロバート・デ・ニーロは器用だなーと。っていうか、ジェイク・ラモッタがぁあああああ!だよね。
タイトルはデュランのニックネーム「石の手(拳)」より。
(3.75点/5点満点中)
Hands of Stone (2016) - IMDb