イギリスが制作のウェールズを舞台にした青春映画。リチャード・アイオワデが監督デビュー。アイオワデ監督はナイジェリア人のお父さんとノルウェー人のお母さんの間にロンドンで生まれた。イギリスの喜劇のTV番組で活躍している俳優であり脚本家でもある。そのアイオワデが初監督に挑んだ作品。実はこの作品も私が「The Catch / 飼育 (1961)」を観た東京国際映画祭で公開された。でもアメリカでDVDが出る事を知っていたので、観には行きませんでした。日本では監督の名前がリチャード・アヨエイドになっているが、アイオワデの方が正しい。
この映像の0:55位でもプロデューサーのベン・スティラーがそう呼んでいる。そのもうちょっと後の方が分かりやすいかな?8ヶ月間発音を間違えていたが...と自分で話している。そう、この映画、なぜかアメリカのベン・スティラーがプロデューサーとして参加しているのです。でもカメオで出ているので探してみてください。ベン・スティーラーも昔は「リアリティ・バイツ」なんていうジェネレーションXのパンクな青春映画撮ってたものね。でもベン・スティーラーらしさは微塵も感じません。それよりもやっぱりイギリス色が強い。ちなみにこの主人公のお母さん役を演じたのが「Desert Flower / デザート・フラワー (2009)」で主人公のワリスの友人マリリンを演じていたサリー・ホーキンス。「デザート・フラワー」の方が魅力的。
これはアメリカのDVDだけなのかな??DVDが始まる前にこの映画の主人公オリバー・テイトからアメリカ人への手紙が添えてある。「これはウェールズでイングランドの隣。キャサリン・ゼタ・ジョーンズやトム・ジョーンズの出身地。君達はまだ僕の国には侵略してないよ」って書いてある。笑った。ここからちょっと心を鷲掴みにされましたね。イギリスの青春映画って、良いですよね。古くは「小さな恋のメロディ」とか「オリバー」とか「さらば青春の光」とか「あなたがいたら」とか色々。つい最近なら「リトル・ランボーズ」とかも面白かった。アメリカの青春映画は底抜けに明るくて、主人公が前向き。でもイギリスはちょっと違う。たいてい斜めから見てる感じ。この映画の主人公は暗いし、ヒロインはそんなにルックスは可愛くないけど、超斜めな所が可愛い。不良ぽい感じ。イギリスってこういう女の子好きよねー。主人公のオリバーは暗い男の子で落ち込みが酷い。でも15歳になったので童貞は卒業したい。でも暗い。虐められる事もしばしば。気になる女の子は所謂、尻軽ではあるのだけど、オリバーに君は尻軽じゃないよと言って彼女の気をひいて、付き合う事に。でもオリバーは下心ありあり。オリバーは両親が倦怠期気味なのも察知していて、両親の寝室の証明の明るさで彼らが仲が良いかが分かってしまう程に親をスパイ。15歳って改めて面倒な年齢だなーって思わせてくれます。金八並みに。オリバーも面倒。童貞は捨てたいけど、彼女の気持ちなんて分からない。それよりも両親が離婚してしまうのが嫌だという気持ちの方が強い。彼女が他の男と一緒に居る所を見てもなにも出来ないけれど、お母さんが他の男と出かけている方が気になっちゃって、そっちの方は行動出来る。まだまだ子供。その面倒な15歳をアイオワデ監督はお洒落にスクリーンで演出してますね。暗いんだけど、観客は暗くならないような爽やかな映画。ラストも15歳の面倒さと可愛さが出ていて最高!
(4.5点/5点満点中:DVDにて鑑賞)