Conan the Barbarian / コナン・ザ・グレート (1982) 909本目
前の作品からの勢いで見る。リメイク作品がいまいちだったので、期待していなかったけれど、凄い面白かった。結論から言うと。コナンおたくのオヤジさんに「これは面白い」と前々から何百回言われていても、信用してなかった。だって、こういう映画苦手だと思っていたもの。
説明不要のシュワちゃんやターミネーター知事で知られるアーノルド・シュワルツェネッガーの出世作。そういえば、シュワちゃんも苦手である。知事としてはもっと嫌いである。ムキムキも実は苦手である。ロン毛もかなり苦手である。色んな苦手要素があったが、この映画は最高だった。見る前までは、ずっとジェームス・アール・ジョーンズのタルサ・ドゥームはいい人役だと勝手に思い込んでいた。ジョーンズの印象って、心優しいお爺さんの印象がある。でも実は悪役やらせると最高なんだよね。声だけだけど、ダースベイダーもそうだし、彼自身がアカデミー賞にノミネートされた「The Great White Hope / ボクサー (1970)」も、悪役ではないけれど、国民(というか白人市民にとって)のヒール的存在だったジャック・ジョンソンがモデルになっている映画だし。そのジョーンズが冒頭でコナンの母親を切るシーンの表情がなんとも言えない。悲しい顔という訳でもない、本当に無表情。その一瞬にタルサ・ドゥームというキャラクターが形成されている。タルサ・ドゥームはそうやって子供達から親を奪い、子供達を奴隷化していく。黒人であるジョーンズのキャラクターが子供達を奴隷化してしまうのは、かなりの皮肉である。オリジナルでは敵役だった黒人が、リメイクでは友人というか協力者になっている。奴隷となった子供達の中で唯一残ったのが、コナン。そしてコナンはグラディエイターとなって、殺し合い競技で力をつけていく。ここまでのエピソードも、リメイク作品より全然面白いし深い。そうやって、コナンは「バーバリアン(野蛮)」になっていく。それが唯一の生きていく為の道だから。ふと仲良くなった盗人と共に行動し盗みを働く。その途中で出会ったのが、女盗人のヴァレリア。それまで女を抱くのもただ抱くだけだったコナンが、初めて感情を持ち始めて、復讐心に芽生える。と、大人の面白さがあるんですわ。最後もウォーーー!ってなります。映画の最後はああでなくては!!これ、オリバー・ストーンが脚本に参加しているんですよね。この次には「スカーフェイス」とかも書いているし、一番のっていた時期。監督のジョン・ミリアスも「若き勇者たち」とか好きでしたね。ラストの舞台とか壮大でいいです。
ヴァレリアもカッコいい女戦士。愛する男の為に命だって授けてしまう。だからこそコナンも滅茶苦茶にヴァレリアを愛してしまうのですわ。これがあるから、最高にスッキリとするラストが待っているのです。しかもラストのジェームス・アール・ジョーンズの台詞は、ダースベイダーぽい。「私の息子よ」ですべて片付けようとしている。このジェームス・アール・ジョーンズが演じた独裁者のタルサ・ドゥームとか見て、オバマ大統領に例える馬鹿な人とか居るんだろうなーと思ったら、居たわ。
そして影のMVPであるマコ。綺麗な英語じゃないからこそ出た味と雰囲気。コナンというか、シュワちゃんが思わずマコにお辞儀してしまうシーンが妙に好き。あと、ちなみにコナンの父親を演じたのが、ブラックスプロイテーションでフレッド・ウィリアムソンと激闘を繰り広げていたヒールのウィリアム・スミス。
私、意外とこういう映画好きだったのかもしれません...
(5点満点:DVDにて鑑賞)