これもまたスコッツボロボーイズについての映画です。と言っても、主役はニューヨークからやってきた弁護士サミュエル・リーボイッツ。という時点で、勘の良い人にはどんな感じか分かってしまいますね。でも、Anthony Mackie (アンソニー・マッキー)が出てるのでどうしても見たかった。マッキーはシカゴから来た記者を演じている。マッキーが演じた役ウィリアムは実際に居たかどうかは分からないが、実際の裁判では2人の黒人記者が傍聴を認められている。
スコッツボロボーイズについては大体知っている方が多いと思うが、いちようサラっと。1931年にテネシーの東端から西端をアラバマを通っていく列車の中で、アラバマに入った頃に黒人少年ヘイウッド・パターソンの手を白人青年が踏んだとの事で白人の群集と黒人の群集が喧嘩となった。喧嘩で騒然となっている所に白人のヴィクトリア・プライスとルビー・ベイツが現れ、喧嘩に参加していた9人の黒人少年達にレイプされたと告白。9人は逮捕され、アラバマのスコッツボロ裁判所で当時9歳だったロイ・ライト以外は死刑を言い渡された。
というのがこの映画に入るまでのまとめ。この映画はそれ以降の1933年から描かれている。裁判ではヴィクトリア・プライスとルビー・ベイツの2人はおそらく虚偽の発言をしていたと思われてはいたが、なにせそれを確信させる証拠もない為に、無実かもしれない9人の黒人少年達が冤罪で刑務所に入っていたかもしれないというのが、この事件。しかし真実は分からない。というのも時代によって事件は複雑になってしまうのです。最初はこの事件に黒人団体のNAACPも関わっていたが、途中からは共産系団体のILD(国際労働弁護団)がスコッツボロボーイズ側の弁護の舵を取る。そのILDから依頼されたのが、ニューヨークでは負けなしの最強弁護士サミュエル・リーボイッツだった。今で言うセレブ弁護士。演じたのが、ティモシー・ハットン。80年代の映画好きなので、この名前を聞いただけで私は涙出るね。いい俳優なんだよねー。ドラマ作品でも「普通の人々」とか「ロングウェイホーム」とか。ラブロマンスなら「メイド・イン・ヘブン」とか。あー、涙出てきた。今で言うとライアン・ゴズリングかな?ジェイク・ジレンホールかな?でもこの映画ではたまにトム・ハンクスがドラマ作品で演じている時の癖が、このティモシー・ハットンにものり移った感じ?たまにトム・ハンクスに見えてくる。2人共に好きだけど、チョイ気持ち悪い。
この事件を難しくしたのは、ルビー・ベイツ。彼女はサミュエル・リーボイッツが弁護人になってから、今までの発言を覆して「レイプはされていない」と裁判で証言した。それまではつなぎで南部を渡り歩いていたベイツが、その発言をした時にはニューヨークでも最先端のファッションに着飾っていた。確実にお金を詰まれた姿を丸出しにしていたのである。リーボイッツは勝ち負けに固執するが為に真相は藪の中へ... 私はここが一番重要だと思うんだけど、映画の中のルビーはそっくりなんだけど、服装は地味。リーボイッツとジェームス・ホートン判事の賞賛にだけ力を注いでいるんですわ、この映画。事件の真相を突く訳でもなく... だから事件を知ってる人には「なんじゃーーーい!」と感じてしまいます。事件を知らない人には、まあまあだと思います。一番ムカつくのは、アンソニー・マッキーの役が要らないという事。なんじゃーーーい!DVDで見たんですが、面白かったのはボーナス映像ね。撮影中にハリケーンが直撃。デビッド・ストラザーンが大工の手伝いしているのはビックリ。監督は「俺がハマーだ!」そっくりだね。途中でバズーカで裁判所をぶっ飛ばすか、マギーで撃つんでしょ!と妄想。その方が面白かったのに... とさえ...
(3点/5点満点中:DVDにて鑑賞)