SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて

Bone / 日本未公開 (1972) 763本目

ボンサグにハマってるからタイトルにひかれて観たって訳でもないんですが...いやあるかもねー。
ボンサグとは全く関係ありませんが...見事な70年代ぽい映画ですね。監督は「Black Caesar / ブラック・シーザー (1973)」のラリー・コーエン。コーエンのデビュー作。日本では低予算のホラー映画監督として知られてますが、我々には断然にブラックスプロイテーション映画の監督ですよねー。白人だけど。「ブラック・シーザー」以外にも、その続編「Hell Up in Harlem / ハーレム街の首領 (1973)」と90年代に制作されたブラックスプロイテーションの同窓会「Original Gangstas / ホットシティ (1996)」まで監督しちゃってるし。私はまだ未見だけど「See China and Die / N.Y.ビッグ・ママ・ブルース (1981)」ていうのも撮ってるし。でもやっぱり何と言っても「ブラック・シーザー」ですよね。ラストのニューヨークの町を駆けずり回るシーンは圧巻でしたよね。カメラを遠くに置いてるから、知らない一般人がフレッド・ウィリアムソンに駆け寄って助けようとしてるのも良かった。

と、この作品は70年代の名優ヤフェット・コトーが主役の「ボーン」を演じております。この作品が70年代のサイケデリックというか、クスリの影響を感じずには居られない位摩訶不思議。一言で言えば「ナンセンス」ですね。ビバリーヒルズに住む中年夫婦がプールで涼んでいたらねずみが排水溝につまってしまい、なぜか突然現れたのが大きな黒人男ボーン。ボーンがねずみの死骸を取り除きチップを要求して... サスペンスにも見えますが、IMDBはコメディになってますね。風刺がきいたブラックコメディです。奥さんが全く何もしない&出来ない。卵焼きも出来なければ、電話すら取らないんですよ。この奥さんがボーンに対してストックホルム症候群になってしまう。ちなみに70年代という時代が時代ですが、パティ・ハースト事件はこの映画の後の出来事。だけど最後はやっぱりボーンは黒人。いや幻?とにかく不可解。同じ時代に作られた風刺映画の「時計じかけのオレンジ」等と比べてしまうと、やはり全てにおいて弱いですね。視覚的にも全然面白くないし、冒頭もたんなる死体ばかりだし、何をこの作品で訴えたかったかイマイチでしたね。だからプレミアをおこなっても白人からも黒人からもイマイチ反応が無くて( ゚д゚)ポカーンだったそうで、仕方なくセックスプロイテーション映画としてタイトルを「Housewife(専業主婦)」として公開されたらしいです(日活の方がタイトルエロい)。でも「The Blob(邦題マックイーンの絶対の危機)」で知られるジャック・H・ハリスがこの映画をいたく気に入って制作されたそうです。「The Blob」とは、人を襲う液体。ザ・B級やね。マックイーンのは見た事ないけど、リメイクのは見た事ある。マット・ディロンじゃなくて弟が主役なあたりがこれまた... 
うん、やっぱりラリー・コーエンは骨の髄からB級なんだよね。「ブラック・シーザー」は素晴らしいのに、「ハーレム街の首領」は駄作だったし。そんなどこか垢抜けてない魅力があってB級マニアにはたまらないのかも。悪くは無いんだけどね。とことん悪ければ可愛いのに。最低映画でも大物になれない監督なのよね。

ちなみに主役の1人であるビルは途中でサイエントロジーの事務所の前を通りかかり、「Scientology: A New Slant on Life」という本を貰っている。特に意味は無さそうだけど。「時計じかけのオレンジ」だったら意味があるようになるんだろうけど。そういう事です。

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(3.75点/5点満点中:DVDにてねずみと液体に怯えながら鑑賞)