Belly / BELLY 血の銃弾 (1998) 719本目
ジャマイカ、落ち着いたのかな... ジャマイカでは麻薬裏取引をしているドンのクリストファー・コークのグループと警察側が首都キングストンにて銃撃戦になり非常事態宣言まで出る羽目に。というニュースを聞いて思い出した映画がこの映画。前に観た時の印象は、白と黒という美しいコントラストの映像。ジャマイカで激しい撃ち合い... だったのだけど、ジャマイカでは撃ち合いしてなかったね。残念な私の記憶。撃ち合いをしていたのは、ジャマイカ人の麻薬ディーラーのアメリカの豪邸。惜しい。何かもっと映画の中で激しい撃ち合いしていたイメージがあったんですけどね。そんなでも無かった。
という訳で、ラッパーのナズとDMXが主役で監督がミュージックビデオの巨匠ハイプ・ウィリアムス。ハイプと言えば、ミュージックビデオ界では初の有名監督じゃないでしょうか?それまではミュージックビデオの監督の名前は気にした事なかったけれど、ハイプ以降は「これはハイプか!」と思いますしね。ハイプは派手な色使いや魚眼カメラ、ブリンブリンと女性の尻振りが特徴。それで一つの時代を作りましたね。ミュージックビデオ上がりと言えば、F・ゲイリー・グレイも有名。でもF・ゲイリーは上手いこと映画監督に転進しましたねー。でもハイプはこれで見ごとに転進出来なかった... いまだ劇場用映画はこの作品のみ。でもハイプは今もミュージックビデオでは第一線。でもそのミュージックビデオの監督だというのが功を奏した部分もあり、音楽が良かった。でも使い方がイマイチで、ボソボソと話すナズの台詞に音楽が被ってしまうと何言ってるのかイマイチ分かりにくかった。DMXはあのように話すので大丈夫だけど。でもDMXのアパートは最高にカッコイイ。あれこそハイプ調映像。
ナズがストーリーを書いてハイプと別の人が脚本を手伝ってます。台詞も「太陽の輝きを誰にも止められない」なんていうこれはナズの言葉だろうなーといういい感じの台詞がありましたが、大まかな部分がつまらない。話の継ぎ方もごちゃごちゃ。色んな物を詰めすぎ。レストランでの撃ち合いや麻薬取引や裏社会についての描写は面白かったけれど、大まかなストーリーラインは薄っぺらかな。在り来たりですね。細かい所は興味深いけれど、大まかな部分が魅力に欠けました。ジャマイカから組織的に麻薬の取引をしているのを見せたのは面白いですね。まだ1998年の事ですよ。今度公開される予定の「Blood Done Sign My Name / 日本未公開 (2010)」なんていう映画の題材にまでなっている有名な活動家ベン・チャヴィスがラスト出てきてます。しかもかなりの長台詞。そこが見せ場ですかねー。ナズが演じたシンシアとDMXが演じたトミーという男の1999年の1年間を描いております。まあこういう刹那的な生き方をしている男達はたった1年で人生が劇的に変化してしまうものですね。
やっぱりDMXは堂々としていて上手いんだけど、ナズは演技まだまだですねー。メガネかけて本読む姿は似合うけど、銃もってというシーンは合ってない。TLCのT-Bozも何度か映画は出てるけど上手い訳じゃない。ナズとT-Bozが絡む所は観てられませんでしたね。DMXの彼女役も魅力的だけど、演技はイマイチ。それにしてもあの「Menace II Society / メナース II ソサエティー/ポケットいっぱいの涙 (1993)」の主役タリン・ターナーのライバルの役は最高。店先でバナナ食べてるシーンは名シーン。Gifだけど大丈夫かな??
今観れば面白いかと思ったんだけど、やっぱりそうでもなかった。いや悪くは無いんだけど、ああいう風に立ち直っても、真面目な私はそれで??と思ってしまいますね。ナズに至っては単なる逃げでしょ??人殺してるからね、もっと反省や罪滅ぼしをしないと納得出来ませんわ。人生のセカンドチャンスには私も賛成。でもそれはちゃんと罪を償った人にあるべき物。こういう映画を「リアルだ」なんて言っている人たちにも伝わるかしら??
(3.5点/5点満点中:DVDにて鑑賞)