SOUL * BLACK MOVIE * ブラックムービー

ブラックムービー、ブラックスプロイテーションなどについて


*10/15/2018に「ブラックムービー ガイド」本が発売になりました!よろしくお願いします。(10/15/18)

*名作映画鑑賞会 in 京都みなみ会館にて上映される『ウォーターメロンマン』についてパンフレットに寄稿。(12/03/21)
*映画秘宝 12月号にて、連載(パム・グリア#2)&メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ&マイケル・K・ウィリアムズ追悼、『リスペクト』、『エターナルズ』のブライアン・タイリー・ヘンリーとローレン・リドルフを寄稿。(10/21/21)
*映画秘宝 11月号にて、連載(パム・グリア#1)&『キャンディマン』新作&旧作、Sonny Chiba追悼を寄稿。(9/21/21)
*映画秘宝 10月号にて、連載(武道普及)&アイザック・ヘイズ&ロバート・ダウニー・Srを寄稿。(8/20/21)
*映画秘宝 9月号にて、連載(女性アクション映画史)&サブスク便利帳に寄稿。(7/19/21)
*映画秘宝 8月号にて、連載(『Yasuke -ヤスケ-』)&特集の「映画館に行こう!」を寄稿。(6/21/21)
*映画秘宝 7月号にて、連載(DMX追悼)&『ファルコン&ウィンターソルジャー』について寄稿。(5/21/21)
*映画秘宝 6月号にて、連載「Baadasssss Cinema Club」を開始。(4/21/21)
*ミュージック・マガジン 5月号のデイヴィッド・バーン特集にて、「スパイク・リー~闘い続ける映画作家」を寄稿。(4/20/21)
*キネマ旬報 4月下旬号の『21ブリッジ』特集にて、「ブラックムービー史からみる『21ブリッジ』」を寄稿。(4/5/21)
*映画秘宝 5月号にて『21ブリッジ』とチャドウィック・ボーズマン、『星の王子ニューヨークへ行く2』を寄稿。(3/19/21)
*映画秘宝 4月号にてLL・クール・J、『ラスト・フル・メジャー』、『ミナリ』について寄稿しました。(2/21/21)
*映画秘宝 3月号の「ベスト&とほほテン」に参加と『FARGO/ファーゴ』シーズン4について寄稿。(1/21/21)
*駒草出版 WEBにてBLM(ブラック・ライヴズ・マター)を理解するための5本を寄稿。(12/21/20)
*映画秘宝 2月号にて「オールタイム・シスターフッド映画30」と「イケメン女優名鑑BIG5」に寄稿。(12/21/20)
*映画秘宝 1月号にて監督4名について、そして『40歳の解釈: ラダの場合』レビューを寄稿。(11/21/20)
*映画秘宝 12月号にて『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』について寄稿。(10/21/20)
*映画秘宝 11月号にてチャドウィック・ボーズマンの追悼文を寄稿。(9/19/20)
*映画秘宝 10月号にて『サミュエル・L・ジャクソン in ブラック・ヴァンパイア』、『行き止まりの世界に生まれて』について寄稿。(8/21/20)
*映画秘宝 9月号にて『ザ・ファイブ・ブラッズ』レビュー&キャスト、最新ブラックムービー&ドラマ10選、ブルース・リー『Be Water』レビューを寄稿。(7/21/20)
*ミュージック・マガジン 8月号「ブラック・ライヴズ・マター」特集の「映画ガイド」にて29作選出、11作を解説を寄稿。(7/20/20)
*FRIDAYデジタルにて「映画が描いてきた「Black Lives Matter」の深層」というコラムを寄稿。(6/18/20)
過去記事

The Blind Side / しあわせの隠れ場所 (2009) 663本目

観てきた。前に書いたように、ウルサ型の私には評価が難しい映画だとは思っておりました。それでもね、観ないで文句ばかり言う人は嫌でしょ?というか、説得力が無いでしょ?という訳で観て来ました。でももちろん文句言うだけの為に観たんじゃない。一人の映画ファンとして観ました。というかさ、私アメリカンフットボールファンじゃん。

アメフト、しかも大学のアメフトファンの私としては、面白いツボが沢山ありました。細かい所が沢山あって、大学のアメフト知らない人は損している部分も多々あります。劇中でマイケル・オアーをスカウトしに来るコーチ達は本物なんですよ。そのシーンにしても、アーカンソー大のコーチが家に訪ねてきた時に、ミシシッピ大(愛称Ole Miss/オル・ミス)の卒業生であるサンドラ・ブロック演じるリー・アン持っていたオル・ミスのカップを見て一言「オル・ミスのカップですか」と嫌味ぽく言うシーンがあります。アメフトのライバル校は大抵近郊の州の大学で、オル・ミスとアーカンソーもライバル同士(ここの場合アーカンソーミシシッピは共に貧しい州でも知られているのでその部分の争いもある)。ま、そこまで分かっただけでもその台詞は面白いのですが、実はこの映画にアーカンソーのコーチとして登場するヒューストン・ナットは、そのオル・ミスに多額の契約金で引き抜かれて今現在コーチとなっているのです(という事で、ナットは本物のマイケル・オアーをコーチしておりました)。ライバル校に引き抜かれた事で益々盛り上がる対戦でもありますが、現在アーカンソーはこのオル・ミスに負けが続いております。まあそんな事を知っていると、あの一言の台詞で大笑いなんですが、あの台詞で笑っていたのは図太い声のオジサン連中ばかりでした。またこの南部の地区が所属するSEC(サウスイースタン・カンファレンス)はフットボールが非常に盛んなカンファレンスで、近年はこのカンファレンス所属の大学が優勝する回数が非常に多いです。今年もそのSECのアラバマ大が優勝。だからか、マイケル・オアーにスカウトに来る大学も殆どがこのSEC所属の大学だったりするんですね。また、メンフィス出身のマイケル・オアー自身はテネシー大学に進みたいと思ってましたよね。この地区の若者はやはり故郷の大学で活躍して錦を飾りたいと思う人たちが多いのです。南部のアメフト熱は半端ないのです!!

と、アメフトファンの私はツボな場面が多かった。細かい事を書けば、アメフトに関するもっと面白い場面は多々ある。でもアメフトとしては高校が舞台ですが「Friday Night Lights / プライド 栄光への絆 (2004)」の方が本格的で面白い。

で、映画ファンとしては...
あれだね、サンドラ・ブロックが好評を受けている理由が分かった。サンドラ・ブロック本人がSAG賞のスピーチで言っていたけれど「私は女優を辞めようと思っていた。けれど「Crash / クラッシュ (2005)」に出れたお陰でその考えを変えた」と言っていましたね。どうも「クラッシュ」に出る前まで出演していた映画の役柄に女優として不満を感じていた様子。私はその「クラッシュ」でのサンドラ・ブロックは評価していないんですが、この映画のサンドラ・ブロックはようやくサンドラが演じられるピッタリな役が来たという感じ。「オル・ミス」というジェームズ・メレディスという黒人学生の入学を拒むという公民権運動の舞台ともなった南部の大学に通っていた女性で、その大学のバスケットのスター選手だった男性と結婚して、事業も成功させた富豪の女性。夕飯は手抜きで自分のファーストフード店のタコベルだったり、感謝祭だって出来合いの料理を買ってくるだけだったりするのに、ランチだけは友達と豪華なレストランで食事。そんな今時のセレブぽい”ニュー”サザン・ベルを実にハツラツと演じてますね。この映画での台詞の言い回しとかも、SAG賞のスピーチと同じ印象。無理せずに出来たんでしょうね。でもブロンドは似合わなかったわ。

それでアメリカの黒人の歴史を...いやアメリカの黒人映画の歴史を常に探求している私にとっては、評価が難しい。主人公のリー・アンがその高級レストランでランチ中に黒人を家に泊めているという話になった時に、友人の一人から「ホワイトギルティを感じてるの?」と嫌味ぽく言われます(同じテーブルにつく友達には黒人より黒く肌を日焼けしている女性が居るのは笑った)。黒人を奴隷にし、しかも南部の人達は長い事法律の元で分離していた事へ罪を感じるという事。リー・アンはその言葉に怒って席を立ってしまうが、全く無いと言ったら嘘にもなると思う。実際に最初に泊める時にマイケルが家の物を盗まないか心配するシーンもあったりするので、リー・アンが全く差別意識が無いと言ったら嘘になる。でもマイケルと接する事で変わっていく。実際に盗まれるかもと心配していた朝、マイケルは借りていたシーツや枕を綺麗に整頓しているのを見てリー・アンは考え方を改める。リー・アンにとって、マイケルという存在は彼女の固定観念を変えていく上でも必要だった。しかしこの映画は割りと軽くこの出来事を描いているので、マイケルの努力は余り描写されていない。またマイケルという人物を知る描写も少ない。リー・アンが不安になる部分ははやり白人と黒人との違いだったりするので、あまり人間同士という部分を感じられる事が出来なかったのが不満な点だ。白人と黒人の交流を描いたとなると、やや一方的にも感じる作品だが、一人の女性が一人の青年を救った話となると、感動的な物語。うーん、でもやっぱり以前に私が書いた通り「マジカル・ニグロ」の話になってましたね。マイケルにアメフトという特殊能力が無かったら... うーん、難しい所ではあります。そして逆にマイケルが有名なフットボール選手にならなかったら、こういう素晴らしい話が世には出なかったんでしょうね。以前に書いたときにリンクした「RaceWire」のサイトが私が見た時の感想を一行で表しています。「この映画はホワイト・ギルト(を感じる人達)に明白にアピールする」と。オリジナルの文を載せたこちらには白人の読者から猛攻撃を受けてますけど... でも、そうだと思いましたよ、第3者から観ても。私は小心者なので、感想ではお茶を濁した形で書いてしまいましたけどね。別にリー・アン本人の行為をあれこれ言っている訳じゃなくて、この映画での描かれ方に不満を感じているんですよね。でも物語に感動した読者はそれを分かってないんですね。まあでもこういう風にお互いの思いを人々を考えさせるのはいいのではないでしょうか?

感想やあらすじはこちら

(4点/5点満点中:劇場にて鑑賞)