Cast >> Roscoe Orman (Willie Dynamite), Diana Sands (Cora), Thalmus Rasulala (Robert Daniels), Joyce Walker (Pashen), Roger Robinson (Bell), George Murdock (Celli), Albert Hall (Pointer) ...
Director >> Gilbert Moses
Writer >> Ron Cutler, Joe Keyes Jr.
Producer >> David Brown, Richard D. Zanuck
Genre >> Crime
総合ポイント >> 5/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 5 Direct >> 5 Music >> 5
It's no different from any other industry...
ウィリー・ダイナマイト(ロスコー・オーマン)はニューヨークで7人もの娼婦を抱え高級ホテルを縄張りにしていた大物ピンプだった。しかしピンプ同士の集まりで、ナンバーワンになりたいが為に意見を反対したウィリーは、他のピンプから狙われるようになる。同時に警官にも執拗に追われるようになり、またソーシャル・ワーカーのコーラ(ダイアナ・サンズ)がウィリーの娼婦の1人パッション(ジョイス・ウォーカー)を更生させようとやっきになっていた...
この映画をブラックスプロイテーション映画のベストに選ぶ人は多い。冒頭のマーサ・リーヴスの歌う主人公を紹介する「Willie D」や主役のピンプのウィリーが縄張りにしているホテルで行われているビジネスの集会で演説している男の言葉から、終盤でウィリーがニューヨークの町を徘徊している時にふと目にするモデルのポスターの絵まで細部にこの映画のラストまでのドラマが植えつけられている。
アメリカは個人事業で大きくなったと聞く。ピンプというものをその個人事業として捉えているのがこの映画の面白さだ。しかしピンプというものが非合法である限り、彼等には法から追われるという運命を持っている。そしてこの映画では追う警官にも面白いドラマをつけているのもいい。
そして元娼婦が立ち直りソーシャル・ワーカーという職業について若い娼婦達を更生させようとしている。そのソーシャル・ワーカーも以前の経験から恐怖心を未だに持ち、そして恐怖と戦いながらも情を持ってしまう。その女性の強がっている台詞も粋だ。「私は娼婦の為のラルフ・ネーダーよ」とウィリーとやりあう。そしてアクションを少し取り入れる事で観客を飽きさせない。飽きさせないといえば、ウィリーの鮮やかなファッションも楽しいし、あっと言わせて驚かせてくれる。
ウィリーと母との繋がりはややセンチメンタルであるが、それでも母を敬虔なクリスチャンにした部分と実家を中産家庭にした事でこのドラマの深さを見せ付けられる。ビジネスの面ではピンプという職業のもつ非情で狡猾さを見せながら、少しずつ人間味を見せる事で更生への明るい道を見せた監督の采配が光る。
人間の悲哀、そして出口なしの世界。その中でコーラという女性を通して、一筋の光を人間として見つける主人公。ブラックスプロイテーションが生み出した粋な遺産だ。
(11/3/09:DVDにて鑑賞)