Carmen and Geoffrey / 日本未公開 (2005) 611本目
この作品がDVD発売されると聞いて、何だか凄く見たくなりました。最近、芸術センス(無いものだから余計に)を刺激されたいんです。早速手に入れて見ました。ほぉー。
カーメン・ディ・レヴァラデとジェフリー・ホルダーという2人のダンサーのドキュメンタリーです。2人は時代を作ったダンサーであり振付師。そして50年も連れそう夫婦でもあります。そのカーメンの元でダンスを学んだリンダ・アトキンソンが監督。彼等の歴史はダンスの歴史でもあったのです。黒人のダンスと言えばアルビン・エイリーとキャサリン・ダンハムという2人の名前は映画畑の中に居ても避けて通れない名前であります。そのアルビン・エイリーをダンスの世界に引っ張ってきたのがカーメン。カーメンはニュー・オリンズ生まれのクレオール。幼くしてロサンジェルスに移住。そこの高校で出会ったのが、アルビン・エイリー。エイリーは最初はダンスに興味を持っていなかったが、カーメンがレスター・ホートン舞踊団を紹介した事で、ダンスに開花して...その後のエイリーの活躍等は歴史や伝説となってに残っております。エイリーとカーメンはブロードウェイに初進出した時にもペアを組んで踊った程。傍から見れば恋人同士のようだったけど、プラトニックな関係だったそう。その2人がペアを組んだブロードウェイに出演していた別のダンサーがジェフリー・ホルダー。彼はカリブ海のトリニダード出身のダンサー。兄の影響でダンスを始めた。カーメンとジェフリーは電撃的に結婚して、今では結婚生活50年。2人はお互いに切磋琢磨している姿が素晴らしいですね。ジェフリーは今はダンスはしてませんが、振付師として第一線で活躍。映画「The Wiz」のオリジナルになる舞台版の「The Wiz」を1975年に上演して成功させています。トニー賞も受賞。また振付師だけでなくて、舞台衣装なども手がけていたり、画家としても活躍したりと多彩。奥様のカーメンはダンスを一筋に頑張っていて、71歳になっても現役で各地で踊っております。
2人共にアルビン・エイリーだけでなく、パール・ベイリーやジョセフィン・ベイカーという一流エンタテイナーとも共演していて、その当時の珍しい映像等もあっていいです。すごく刺激を受ける映像です。そして2人の距離感も素晴らしいと思いました。仕事面でも助け合いながらも、微妙な距離があるというか... お互い好きな事は好きなようにやらせていて、でもお互いその道の一人者ですから仕事の面でも助け合うし、お互いの才能を信じている姿が美しい夫婦の姿だと思いました。ああいう部分が50年以上も夫婦生活を続けている訳かなって思いました。私ももうすぐ(本当にもうすぐ)で結婚10年を迎えるんですが、あとその5倍続ける為に学ぶ事は多いと思いました。そういうダンサーとしてだけでなく、人間としても学べる事の多い2人ですね。一番素敵だったのがジェフリーが「妻は素敵な息子をプレゼントしてくれたんだ」と言った時。
アルビン・エイリーは黒人である事を意識して、ダンスにもゴスペル等を果敢に取り入れた事でも有名です。このドキュメンタリーでは、なんとあの「Wade in the Water」でエイリーとカーメンが踊っている映像もあります。他にも若きジェフリーが踊っている映像や、カーメンがジョセフィン・ベイカーを語る等、黒人エンタテイメント好きにはたまらないドキュメンタリーです。
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(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)