いやー「Talk to Me / 日本未公開 (2007)」を見てからというもの...その主人公のラルフ・ワルドォ・”ピティ”・グリーンとは何者なのさ!!という、いつもの調べたい調査したい気分は沸々と湧き上がったんですが、彼の事が書かれている本をアマゾンのカートに入れながら、何となく難しそうだなーと思いながら入れっぱなし。そしたら、PBSで放送したドキュメンタリーがDVDになっているという事で手に入れました。何者なんでしょうね?面白くてたまりません!映画も相当面白かったんですが、このドキュメンタリーもかなり面白いです。なんでこんな面白人間が全国化で有名じゃないんでしょうか??それには映画でも触れていましたが訳があるんですよね。このドキュメンタリーでももちろん触れております。あんなに面白かった映画なんで、かなり味付けが濃くされているんだろうなーと思っていたんですが、あれが事実とは...恐れ入りました。ピティもマルコムXと同じで、一度は道を外した人。でも人気となってからは、刑務所に戻る事はありませんでした。でもピティは聖職者という立場ではありません。マルコムやキング牧師程有名じゃありませんが、地域に貢献した人です。今でもその彼の足跡は残っております。でも、でも... ある意味リチャード・プライヤーよりも過激かもしれないですね。その道の先駆者かも。
ピティ・グリーンとは何者なのか?
コメディアンも少しやっていましたが、彼の専門はDJですね。喋りのプロ。天才。上手いのでコメディアンにもなった程。でも自分の意見を主張する喋りが一番上手かったんだと思います。このドキュメンタリーではピティが実際に出演していた番組のテープを使いながら、ピティの真実を語っております。彼の有名な「スイカの食べ方」もちゃんと見れます。面白かったのは、今やショックDJの一人者的扱いであるハワード・スターン(ユダヤ系白人)が若い頃にピティの番組に出ていた事。スターンが顔を黒塗りにして自分が黒人だと思い込んでいる男なんですが、さすがにピティの前じゃ「Nワード」が言えない。ピティが「言えよ、言っちまえよ!」と言っても言えない。さすがのスターンも尻込みする程に、ピティでは口では勝てないと思ったんでしょうね。もちろんピティはスターンの才能を買っていたようです。
映画では分からなかったデューイ・ヒューズ以外の交友関係。画家のアーニー・バーンズとか俳優のRobert Hooks (ロバート・フックス)とかもインタビューに答えていました。びっくりしたのが、ミュージシャンのチャック・ブラウンとは同じ刑務所仲間。その刑務所で劇作家となったローチ・ブラウンもインタビューに答えてました。凄い面子が同じ刑務所に同時期に居たんですね。
あとピティが見出したのはハワード・スターンだけじゃなくって、大統領選でもCNNで活躍していた政治アナリストのドナ・ブラジルもピティの番組で鍛えられたとの事。後はスポーツキャスターのジェームス・ブラウン(もちろんあの方と同じ名前ですが別人です)も世話になったらしい。過激DJに政治にスポーツと多方面に影響を及ぼしたんです。でも彼の名前を知る人は少ない。それにはもちろん理由があるんですけど...完璧じゃないところが良かったのかも。ピティは自分の言葉で分かりやすく一般人の心に訴えかけた。だから地元の人々に愛されたんだろうなーと思いました。
映画でも描かれていましたが、ピティはマーティン・ルーサー・キング牧師によく触れていた。このドキュメンタリーでもそう。非暴力のキング牧師を尊敬していたのがよく伝わります。このドキュメンタリーで答えているピティの姉妹の一人がネイション・オブ・イスラムの一員。2人は仲が良かったようですけどね。興味深いなって思いました。
"I'll tell it to the hot, I'll tell it to the cold. I'll tell it to the young, I'll tell it to the old. I don't want no laughin', I don't want no cryin', and most of all, no signifyin'"
ピティ探求は飽きないですね。知る程に面白い。それだけ魅力の詰まった人なんでしょうね。
感想はこちら。
(5点満点:DVDにて鑑賞)