Cast >> Cicely Tyson (Sweets), Paul Winfield (Butler), Larry B. Scott (Benjie), Helen Martin (Mrs. Bell), Glynn Turman (Nigeria), David Groh (Cohen), Kevin Hooks (Tiger) ...
Director >> Ralph Nelson
Writer >> Alice Childress
Producer >> Terry Nelson, Hal De Windt
総合ポイント >> 4.5/5点満点
Contents >> 5 Performance >> 5 Direct >> 5 Music >> 3
I salute to my loving Heroes... not Sandwich but golden
ベンジー(ラリー・B・スコット)はLAのサウスセントラルにあるジョージ・ワシントン校に通う13歳の男の子だった。学校では文学や黒人の歴史等で才能を見せ、聡明な子供だった。しかし一方で父が家を出た事が彼の心を蝕んでいた。母(シシリー・タイソン)とその恋人のバトラー(ポール・ウィンフィールド)はベンを助けようとするが、彼の体もボロボロになっていた。なんとヘロイン中毒になっていたのである...
ポール・ウィンフィールドとシシリー・タイソンは70年代最大で最高のスクリーンカップルだ。スクリーンの中で彼等は相性が良くいつもいい空気を醸し出してくれている。今回もバランスと雰囲気が素晴らしい。それで居て情熱的な感情をぶつけ合う。この2人にしか出来ない呼吸の合わせ方があるようだ。
また物語が生々しい。原作がヤングアダルト向けの本なのに、なんと13歳の男の子がヘロイン中毒になってしまうのだ。その過程も納得が行くように生々しく描かれている。ベンジーの父親不在の不安と、その悲しみ。年頃故に、母の恋人の存在を苦々しく思っている。その母の恋人は自分の夢と現実の間で、正式な父親にはなれないという葛藤。そして母は再婚への不安を抱え、そして逆に恋人が去ってしまうかもしれないという不安も抱えている。そんな時に出来てしまったベンジーの心の隙間を、薬が蝕んでいく。
そしてベンジーが更生施設で立ち直ろうとしている映像を、監督はすべてモノクロの静止映像だけで伝えているのも面白い。ベンジーの一瞬の表情を捕らえているのだ。そして唯一更生施設で映像となるのが、同じように中毒者として施設にいる大人達との会話の部分。ここはまるでドキュメンタリーのような描写だった。
ベンジーの感情や心の隙間は、世界中どこに住んでいようと誰の元にも起こりうる事だと思う。自分がその立場かもしれないし、家族の立場かもしれない。この作品はオリジナリティなアイデアに優れていながらも、現実を見せてくれている。そして人が出来る事を同時に教えてくれている。
(1/21/09:DVDにて鑑賞)