The Girl from Chicago / 日本未公開 (1932) 13本目
オスカー・ミショーの作品です。
オスカー・ミショーについて、このブログではあんまり触れて来なかったかもしれないです。いや「Within Our Gates」で触れましたね。偉人さんです。ブラックムービーの偉人さんは、「他がやらないなら俺・私がやってしまおうホトトギス...」的な人が多い。このオスカー・ミショーがそのパイオニア。作家として成功したミショーは自分の本を映画化する事を思いつき、実現している。「実現している」なんて簡単に書いてしまいましたが、その実現までには相当な努力と忍耐でした。他のハリウッドの大作映画とは違って資金や機材が限られた中、何とか映画が出来た所で、公開してくれる映画館が無かったり... 現在も映画監督として活躍しているウィリアム・グリーブスは、オスカー・ミショーの苦労をこう語ってます。「映画監督のオスカー・ミショーがバーやグリル店に、カバンを持って現れて、そこにプロジェクターをセットして、自分の映画を公開し始めるんだ。」本当に自主制作であり自主公開だった訳です。この辺のバイタリティと心意気は、70年代のメルヴィン・ヴァン・ピープルスに受け継がれていったのですね。
と前置きが長くなりましたが、映画本編です。
ミショーの作品は上のような事情もあり、社会的な映画が話題になりましたが、この映画はエンターテイメントを重視していたようにも思います。女性が歌うシーンに時間を割いているし、ハーレムに舞台が移った時にもクラブシーンにも時間を割いています。とは言え、もちろんミショーの社会派な部分も垣間見られるのですが、今風な感じでそこがメインじゃないんですよね。ミショーはエンターテイメント的な部分を中心に作ったのだと思います。またミショーはチャールズ・チェスナットの小説が好きだったそうで(ミショーはチェスナットの小説を映画化もしています)、チェスナットの小説を真似している部分もあります。例えば、舞台がミシシッピーのベイツバーグという町なのですが、実在しません。チェスナットの「Patesville of Conjure Woman」のPatesvilleを真似たそう。
ただ保存状態も悪く、元々のフィルムの編集も良くなかったので、主人公の顔が半分切れていたり、裏方さんの声が思いっきり入っていたりとします。ま、古い映画なのでそこら辺も「あれはもしかしたらミショーの声かも?」なんて楽しんでしまいましょう...
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(4.25点/5点満点中:DVDにて鑑賞)