No Way Out
いやー、びっくりしましたね。本当のXデイは昨日でした。私も知らなかったんだけど、ジョン・エドワーズが支援表明するという噂がその30分位前に突如オバマのMLで噂され始めた。ABCだかがいち早くにその噂を肯定するニュースを流した。嘘だーと思っていたけれど本当にオバマが演説するミシガン州に現われた。びっくり。エドワーズは最後の最後まで支援表明しないと思ってました。エドワーズの妻エリザベスがクリントン寄りだったのもあって余計に。でもエドワーズがテレビに出演して意見を言っているのを聞くと、オバマに心動いてるんだろうなーとは思っていたけれど...何しろ、妻のエリザベスが強い人なので...
でもウエストバージニアの選挙前に、ヒラリーの発言に対してエドワーズが噛み付いていたので、そろそろかなーとも思っていた。でも、エドワーズは妻が強いから...(笑)口々にエドワーズを副大統領候補に!と言われていますが、本人は司法長官の座を狙っているとの噂も。ここまで支援を待ったのは、きっとオバマの勝利を確実にしてからだったと思うんですよね。政治的な野心が見えるというか... だからこそ、私はビル・リチャードソンが好き。あんなにバックラッシュを受けてまでも支援表明をしてましたからね。彼はヒスパニックのみならず、ネイティブ・アメリカン問題にも精通しているらしいので、そういう問題を扱うトップとなって欲しいものです。で今標的になっているのがアル・ゴア。「Where is Al Gore?(アル・ゴアはどこに?)」と言われてます。民主党内では影響力ある人なので、彼が誰を支援するのかみんなが興味深々。また彼の発言1つでは未だ行われている民主党内の候補者選びも終わってしまう可能性だってある(いや、もう数字的には戦いは終わっているのだけど)。
所で、ウエストバージニア。結局ヒラリーが60%以上で勝利した州がアーカンソー州とウエストバージニア州のみ。折角勝ったのにマスコミからも総スカン。「で?」みたいな酷い扱い。しかもその日はスーパー代議士の多くがオバマへの支持に傾れこんだので余計に。そんな中、ウエストバージニアよりも注目を集めた選挙がある。ミシシッピーの下院補選の選挙。ミシシッピーはレッドステイトと呼ばれる昔から共和党が強い州。過去5回の大統領選でもすべて共和党候補が勝っている。そこでの今回の選挙は11月の大統領選の前哨戦とも言われた。そこで共和党は民主党からの下院候補のトラビス・チャイルダーズとオバマを一緒にして「彼らはリベラル」の選挙運動を開始した。所が選挙は民主党のチャイルダーズは54%で勝利した。その結果を受けて、共和党は焦っていると言われている。マスコミや政治ブログではこの選挙のニュースの方にみな関心を持った。
で、話をヒラリーに戻す。彼女は出口無しとなっている感じも受ける。例の「白人は私に票を入れている」発言も反省しているらしいし、選挙運動自体もトーンが低め。CNNのインタビューでは「私に投票してくれた人々がオバマではなくマケインに投票するのは酷い間違いです」とまで発言している。最後まで選挙を終えたい気持ちもあるらしい。最近ではヒラリーではなく選対責任者のテリー・マコーリフの方が鼻息荒い。オバマ支持者の間では「選挙を続けているのは、マコーリフが仕事を失いたくないからヒラリーを説得しているだけ」という声まである。今続けているのは、彼女の今までの功績を立て直す為だと私は思う。
そんな中、インディアナ州でオバマの為に選挙活動をしていた支援者がワシントン・ポストに語った。20歳になるローズという白人の女性は、大学を休学してオバマ支援活動をしている。その彼女が、インディアナにあるとある工場地帯の町で選挙活動をしていた時の事、突如「黒人なんかに投票するか!」と罵声を浴びた。また別の女性は投票するように電話にて説得する「電話バンキング」にて、「あのクロンボを木に吊るしてしまえ!」と言われて切られたこともある。選挙の日にインディアナで黒人が多く通う学校近くで生徒達がオバマのサインを持って宣伝した時には車に乗った人たちから差別的な発言を受けたという。インディアナでは選挙日にオバマの選挙事務所が荒らされ、国旗を盗まれ、スプレーのいたずら書きが見つかった。また他の選挙事務所では爆破の予告まで受けた。11月までこの戦いは続く。いや、11月以降だってこの戦いは続くだろう。オバマが力を入れるという教育問題で、この問題は少しは良くなると信じたい。教育を立て直すには時間がかかる。いつの日か。とは言え、多くの人が未だに人種とか性別とかに囚われているという事だと思う。
ちょっと長くなるけれど... この選挙が始まってからずっと思っていた事がある。上で書いた「人種と性別」である。多くの人はヒラリーに女性を求める。でも多くの人はオバマに黒人を求めない。ヒラリーは平気で「白人は私に票を入れる」と言ってもさほど問題にもならない。けれど、反対にオバマが「黒人は私に票を入れる」なんて発言したら、多くのマスコミがオバマに噛み付く事となると思う。また「ヒラリーが女性だから票を入れる」と言っても何の問題もないけれど、「オバマが黒人だから票を入れる」なんて言ったらぎょっとされるだろう。「私は女性として始めて大統領になりたいから投票して欲しい」と言っても、問題にはならないだろう。でもオバマの口から「私は黒人として始めての大統領になりたいから投票して欲しい」なんて言ったら、やっぱりマスコミは噛み付くだろう。だからこそ、私はオバマを支持している。オバマは黒人であるが、その前にアメリカ人である。彼はアメリカ合衆国の大統領になろうとしているのだ。アメリカ黒人の大統領ではない。その事を一番理解しているのがオバマだと感じる。彼のその姿勢こそが、これから益々進むであろうアメリカの多文化と多人種を体現していると思うのだ。人種問題と性別意識はいつも隣り合わせだったと思う。フレデリック・ダグラスも女性の抱える問題に関心を持っていて、女性団体からの支援も沢山受けたという。公民権運動の後に続いたのがウーマンリブだった。私だって女性なので女性の大統領や総理大臣を見る夢だってもっている。もし、女性候補がオバマと同じ姿勢だったら、きっとその女性候補を応援していたと思う。もちろん、オバマの姿勢だけでなくて、彼のポリシーは私のポリシーと重なる部分が多くて共感できる。前にも書いたけれど、最初からイラク戦争に反対していたのが大きい。彼がシカゴで公民権運動の弁護士をしたり、地域オーガナイザーとして活躍していた経歴は、紛れもない彼の公民権に対する思いを感じられる。キング牧師も亡くなる前はシカゴに拠点を移していた。2人共に、故郷でもないシカゴに何かを感じていたのかもしれない。オバマはアメリカ人として公民権運動しかり、アメリカの抱える問題に立ち向かってくれると、私は信じている。私は私の子供が未来住むことになるかもしれない...もしかしたら命がけでその国を守る事になるかもしれない子供の未来を考えて、オバマを支援している。この前にも書いたキング牧師のスピーチライターをしていたクラレンス・B・ジョーンズの「オバマに投票した何万人もの白人の人々が、我々が聞こえない・理解出来ていない何かを教えてくれているように思える。」というのは、目の前にある色や性の違いじゃない「アメリカ」を何万人もの白人の人々が見えているという事だと思う。ただまだその「アメリカ」が見えていない目の前の違いにしか目をくれない人々も存在していて(全人種で)、そこだけをクローズアップするマスコミも多いのも確かではある。ただそこだけの部分で語られているのを見ると悲しくなる。オバマを支持する人に向かって「黒人という理由だけで」とか、ヒラリーを支援するする人に向かって「女性だからという理由だけで」とか言う人は、その人が一番差別主義者だと私は思う。確かにそういう人も居るかもしれない。でも、そうじゃない人も居るのだ。外見だけで発言しないで欲しい。黒人の間でのジョークがある「黒人という理由だけだったら、アラン・キーズがいるじゃないか」。アラン・キーズも黒人であり大統領候補に立候補している人である。
差別を無くす事...つまりその人個人の個性を大事にする事。外見じゃない。これはキング牧師がスピーチした事だ。