Night of the Kings / 日本未公開 (2020) 1796本目
Every man lies to himself until he’s faced with his own death.
コートジボワールがアカデミー国際長編賞にエントリーした作品。残念ながらノミネートは逃しましたが、ショート入りし、ナショナル・ボード・オブ・レビューやNAACPのイメージアワードなどでは受賞した作品。なんと、コートジボワールがアカデミー賞にエントリーすること自体が少なく、今までで本作を含めて3作。そのうちの2作が本作の監督でもあるPhilippe Lacôte。気になるもう1作は、フランス人監督ジャン=ジャック・アノーの『ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー』。コートジボワールの映画史は割りと古い方だと思うのだけど、たった3作とは意外だ。ムバラ・ロジェ・ニョアン(Roger Gnoan M'Bala)とかいるのに。そしてこちらは、コートジボワールの刑務所が舞台。
深い森の中にポツンとある建物。悪名高いMACA刑務所である。そこは刑務所内の独自ルールによって成り立っており、ダンゴロと呼ばれる刑務所内での絶対的なキングによって全ての事が支配されていた。そして現在のダンゴロであるブラックビアード(Steve Tientcheu)は病気で弱っており、全ての力を失う前に自殺すべきだとライバルに言われていた。自分の死を先延ばしたいブラックビアードは、ローマンという新しいグリオ(語り部)を指名することを約束する。グリオは、来たるレッドムーンの間、みんなのために物語を語るよう指示された人物である。そこに新しい収容者(Bakary Koné)がやってくる。ブラックビアードは、彼をローマンに指名するが...
時に『City of God / シティ・オブ・ゴッド (2002)』のような強烈な映像があったり、時に『Touki Bouki / トゥキ・ブゥキ / ハイエナの旅 (1973)』のようなファンタジーさがあったりと、とても斬新な作品で面白かった。そしてグリオが出てくるだけに面白い語り口でもある。さらには「こんばんは 徳川家康です」でお馴染みの『青天を衝け』の黒子ショーみたいなのまである。こういった斬新で誰も想像できないアイデアたっぷりの映像と物語って、意外とハリウッドでは作れないので、新鮮だ。しかも物語が散らかっておらずまとまっていて、面白い。このような作品があるから、アフリカ大陸の作品を見るのが楽しいのだと、改めて気づいた。
(4.75点/5点満点中)
Night of the Kings / 日本未公開 (2020)