注目若手俳優3人の好演と新進監督の好采配『Monsters and Men』
前にも書いたし、ツイッターにも書いたのですが、デンゼル・ワシントンの息子ジョン・デイヴィッド・ワシントンには注目している。今年一番推しな若手。デンゼル様の息子というのを抜きにしても、いい感じの主演男優が出てきたなという印象。そして、これもツイッターに書いたけれど、アンソニー・ラモスにも注目している。プエルトリコ系の俳優で、舞台『ハミルトン』で注目され、スパイク・リー監督のネトフリシリーズ『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』で、かつて映画版でスパイク・リーが演じたマーズを演じた俳優。彼も今凄く注目を集めていて、彼ありきのウィスキーCMにも登場している。そしてケルヴィン・ハリソン・ジュニア。彼はこの映画を機に出てくる俳優だと思う。『The Birth of a Nation / バース・オブ・ネイション (2016)』や『Mudbound / マッドバウンド 哀しき友情 (2017)』等にも出演し、これから注目作品への出演が沢山決まっている俳優です。そして最後になったけれど、監督レイナルド・マーカス・グリーンの初長編映画となるのがこの作品。サンダンス映画祭に出展し、審査員特別賞を受賞した作品。
ニューヨークの街角で運転していたデニス(ジョン・デイヴッド・ワシントン)。車内からはラップが流れていたが、局を変えたら、アル・グリーンの「レッツ・ステイ・トゥギャザー」が流れ、ノリノリでハモるデニス。しかし、その後、警察に車を止められた。自分も警官なのに... バッジを見せてすぐに開放された。大きなため息をつくデニス。別の一角でマニー(アンソニー・ラモス)は仕事の面接を受けていた。帰ってきて着替え、店先で仲間たちとダイスをしていたら、パトカーの音がした。逃げながら目にしたのが、いつも挨拶するDという男が、警官たちから羽交い絞めされていた。急いで携帯で録画するマニー。そしてその近所に住んでいたのが、メジャーリーグ有望選手で高校生のジーリック(ケルヴィン・ハリソン・ジュニア)。3人はこの事件に絡んでいくが...
という訳で、完全にエリック・ガーナー殺人事件ですね。ニューヨークの街角の店先で違法タバコを売っていた所、警官たちに羽交い絞めで窒息させられて殺されてしまった事件。この事件を元に描いていると凄く感じた。でも人が3人集まれば、それぞれの物語が生まれてくるのは当然のこと。それを見事に描いている。そしてそれぞれ違う立場の苦悩が描かれているのも良い。でも3人に感じるのは別の種類だけど「プレッシャー」というモンスター。
3人の主演も素晴らしく。そりゃ、これからどんどん来るよね!と感じました。そしてこの映画を観て思い出したのが、全然違うテーマなんだけど、やはりニューヨークが舞台の『Gun Hill Road / 日本未公開 (2011)』という作品。うん?監督2人ともにグリーンだぞ!と思ったら兄弟!やっぱり。本当に全く違うテーマでして、あちらはトランスジェンダーのティーンが主人公。だけど、背景というか舞台のニューヨークの街角に同じ匂いというか雰囲気を感じたんですよね。ニューヨークなんて広いし、それこそ色んな監督が撮っている場所なのに、この兄弟には似たものを感じました。観た後に調べて驚いた。
そして、今のアメリカ問題には欠かせないのが、「ブラック・ライヴス・マター」。『The Hate U Give / 日本未公開 (2018)』と同じですね。今必要な映画。今こそ観るべき映画。
www.blackmovie-jp.com
(4.5点:DVDにて鑑賞)