登場人物が愛おしい最高な『Patti Cake$』
賞レースが始まってから気になっていた映画。私はサンダンス映画祭で大賞を取っていると勘違いしていた。取っていなかった。話題になって記憶があるのだが... まあ、そんな事は良い!これは最高に面白かった。イジメられっ子が才能で起死回生!という良くあるタイプの映画ではあるのだけど、それでも面白かった。主人公の好感度が高い。やっぱり明るいのが良い!
パトリシア・”パティ”・ダンブロスキー(ダニエル・マクドナルド)は、その肉厚感のある体格の故、みんなから「ダンボ」の愛称で呼ばれイジメられていた。そんなニュージャーシー州の小さな町に暮らす23歳のパティは寂れたカラオケバーのバーテンダーとしてバイトしているが、不埒な母バーブ(ブリジット・エヴァレット)と祖母(キャシー・モリアーティ)の3人暮らしで、最近は祖母の医療費がかさみ生活は大変だった。パティの楽しみはラップ。O-Zというアーティストが大好きだった。パティ自身もインドから移民のジェリ(シッダルタ・ダナンジャイ)と共にラップをしている。しかし誰も2人を気に掛ける人はいない。そんな中、2人は地元で人気のグループのライブを見に行く。その前に演奏していた黒人ヘビーメタリストのバスタード(マモウドウ・アシー)。彼もまた誰も気に掛ける人はいなかった。パティはバスタードに話しかけるも口数は少ない。そんな中、母が昔リリースした曲「Tuff Love」のレコードが出てきた。思い出にふける母だがパティのラップには大反対。そしてパティもラップの才能がありながらも、中々開花出来ずにいた...
勘の良い人ならば、上のプロットだけで何となく予想は出来ちゃうかな?でもそれでも面白い!パティがとにかく頑張り屋さん。でも元気の押しつけじゃないし、失敗して落ち込むのが自然で良い。この映画のいいところは良い所だけを見せているのではない所。酸いも甘いも噛み分ける、そんな映画。パティの好感度も高いけれど、相棒のジェリも最高!演じたダナンジャイは、Youtubeに曲をアップして有名になって、この役をゲット。こういう青春映画に絶対に必要な良い友人役で盛り上げている。この人の登場シーンが最高。ドラッグストアで働いているんだけど、店内マイクで...面白かった。そして黒人ヘビーメタリストのバスタードが、これまた面白い役柄。見た目も雰囲気あり過ぎで、片目には色付きコンタクトレンズ。見た目だけはFetty Wap。そして自称アンチクライスト(反キリスト教)。でも...っていうね。セリフも雰囲気あるんだよね。O-Zを崇拝しているパティに実際はそんな人じゃないかもしれないと忠告する時に「False prophets」と言っているのが良い。ネトフリシリーズ『ゲットダウン』ではあのグランドマスター・フラッシュを演じていた人。そして、お婆ちゃん役も最高。物凄くファンキー。最初はキャシー・ベイツかと思ったけれど、本当は超美人キャシー・モリアーティが演じていてびっくり!このお婆ちゃんが最初にバスタードに会った時の会話が最高で笑ってしまいます。存在感あるから最後が良い感じなのです。そして、お母さんね。「Tuff Love」っていう曲が、超70-80年代的な良い曲なんですよ。ティーナ・マリー的なファンクソウルぽい哀愁と色気、そしてハートのような70-80年代の女性ハードロックヴォーカリスト風なパワフルな雰囲気。最高っす!と、登場人物が最高にあいくるしい映画なんです。
分かってはいるけれど感動しちゃう面白さ。登場人物の愛嬌にその秘密はある!
Patti Cake$ / 日本未公開 (2017)(5点満点:1603本目)
PattiCake$ (@PattiCakesMovie) | Twitter