20年経った今でも彼の言葉が魅了する『Biggie: The Life of Notorious B.I.G.』
Biggie Biggie Biggie can't you see, Sometimes your words just hypnotize me...
という事で、ビギー/ビギー・スモール/ノートリアス・B.I.G./クリストファー・ウォレスのTVドキュメンタリー映画。制作にはビギーのママのヴォレッタ・ウォレスに元妻(あれ?正式には別れたんだっけ?)のフェイス・エヴァンスが関与。その2人もしっかりとインタビューを受けている。A&Eチャンネルが制作で、本来なら2パックの『All Eyez on Me / オール・アイズ・オン・ミー (2017)』が公開された頃を狙って、このビギーの映画と2パックのミニシリーズが同時に放映される予定だった。が、制作が遅れたのか、ビギーの方が9月初めに放映され、2パックの方は後日放映予定。
当時の映像や関係者がビギーを語っていくスタイルで、母や妻以外にも、もちろんディディ/ショーン・コムズ、側近のリル・シーズやニノ・ブラウンというジュニア・マフィアや、親友ヒューバート・サム、NasやジェイーZなどがインタビューを受けている。あ、ビギーの自伝映画『Notorious / ノトーリアスB.I.G. (2009)』の脚本家で『Marvel ルーク・ケイジ』のショーランナーのチェオ・ホダリ・コーカーも!でもクレジットはなぜか『ルーク・ケイジ』のショーランナーだったけど。やっぱりNasやジェイ-Zがビギーのライムについて熱く語るシーンがじーんと来ますね。ヒップホップ好きだと目頭熱くなりますよね。この2人が結構事細かくビギーのライムについて説明してくれるんですよ。彼らが語ると余計にビギーの格も上がるって事です。
そしてフェイス・エヴァンスが結構あっけらかんと当時を語ってくれていて、好感度上がった。リル・シーズとニノ・ブラウンと食事しているシーン良かった。浮気を発見して喧嘩した事とか、新しいアパートに帰ってこなくて辛かった事とか、浮気も許して仲直りした話とか。このドキュメンタリーでも、ビギーはとにかくモテたと言われていたけど、フェイスの方がビギーにゾッコンだった感じを受けた。そして好きになったら一人だけ!というのではなく...割とみんなに同じ位の愛を与えられる人。一夫一妻制には向かないタイプ。たまに女性と別れてもいい感じの距離間で仲を保てる男性っているけれど、ビギーはまさにそれ。別れた女性の方も後でビギーの悪口を言わない感じ。わだかまりは残さないタイプ。
だけど...2パックとの事は...(´・ω・`)。でもこの映画で分かった事は、もし2人にもうちょっとだけ時間があったならば、絶対に2人とも亡くなってしまうなんて悲劇は免れたって事。2人ともにあと1年・2年あれば、絶対に解決していただろうなと。面白かったのが、「ソウルトレイン・アワード」の後に2パックがビギーたちにちょっかい出してきて、ちょっとしたいざこざになった時にソウルトレインの司会者ドン・コーネリアス(R.I.P.)が出てきて、両者の頭を冷やしたというエピソードが最高でした。
でもこの映画で一番感じたのが、女性にモテたビギーだけど、ビギーがラップで語ったストーリーと詩はNasやジェイーZの語りを聞くと男性の心を打つものばかりという事。なんていうかビギーは男性とか女性とかいうのではなくて、人に愛されたんだなと。特に同じ世界を目指す人々にとって、ビギーのスキルの凄さと難しさを知っていて、彼の才能の前では勝てない。だからこそ、20年経った今でもこんなに愛されている。そして彼の言葉は今でも...hypnotize me...
Biggie: The Life of Notorious B.I.G. / 日本未公開 (2017)(4.5点:1582本目)