最近、本当ーーーーーーーに90年代のラップを映画に上手く取り入れているなーと。『Dope / DOPE/ドープ!! (2015)』といい、インディですけど『Big Words / 日本未公開 (2013)』といい、そしてこの映画といい... この映画はジェル・ザ・ダマジャの「Come Clean」からいきなり始まる。クレイグ・ロビンソン演じるお父さんが、ラッパーになりたい13歳の息子モリスに「どうだ、最高だろ?」と聴かせているのだ。息子は「中々だな」というが、お父さんの求めていた「すげー!」というリアクションじゃない。息子は「まあいいけど、遅い」と言い出す。父は「趣味悪いお前は外出禁止令!」と言い、息子を撃沈。もうこのやり取りで好きになった、この映画が。この映画はそんな親子が、父がサッカーのプロクラブのコーチなので、ドイツの中規模の街ハイデルベルクに居る。お母さんは居ない。2人だけ。物語はそんなラッパーになりたい13歳の息子が、ドイツで孤独に感じカルチャーショックを感じながらも、恋を経験していくストーリー。そちらがメインだけど、父との関係も大事。そんな父を完全にコメディ班に居る筈のクレイグ・ロビンソンが好演している。父も寂しい思いをしているのは同じ。大人なので子供にはそんな所を絶対に見せていない。しかも、自分の子供の事を見ていないようでちゃんと見ている。だからちゃんと息子が進む道に明かりを照らしてあげている。友達のような感じでありながら、実はちゃんと線引きしているのだ。言葉使いも悪いけれど、彼は立派な父なのだ。でも「どうだ!凄い父だろ!」っていう感じでもなく、テレクラに電話しちゃったり、暇なのに息子の送り迎えしなかったりと、割りと率直で弱い人間味のある現実的な所も好き。という訳で、クレイグ・ロビンソンの父親ぷりがとにかく最高。息子も本当に彼の息子ぽくて良かった。黒人への偏見とかも描いているけれど、まあそこはオーソドックスなので、わざわざ取り上げなくてもいいかな。モリスにドイツ語教えている女性も良かった。この映画、とにかく大人が良かった。で、最後はクレイグ・マックと言えばこれ!の「Flava In Ya Ear」。この映画は色々なFlavor(味)が核となる部分。(4.25点/5点満点中)
Morris from America / アメリカから来たモーリス (2016)