Two Men In Town / 贖罪の街 (2014) 1412本目
フォレスト・ウィッテカー師匠主演のなぜかアメリカ映画ではなく、おフランス映画。でもハーヴェイ・カイテルなどのアメリカ人俳優が出演しているし、舞台もアメリカ。アメリカとメキシコの国境で、物凄く乾燥していてジャリジャリしている感じの街。アルジェリア系フランス人監督ラシッド・ブシャール。
痩せてきたので、「あれ?今ならマルコムXも出来るんじゃね?」っていう感じのフォレスト・ウィッテカーが、マルコムXよろしく刑務所内でアラーへの祈り。そして不法でアメリカへ入国してくる人々を取り締まっているハーヴェイ・カイテル。そしてその街に引っ越してきた中年女性が、夜な夜な銃の手入れをしている。という3人が絶妙に絡むドラマ。どうやらウィッテカー師匠は、刑務所を出るらしい。その保護観察官が、夜な夜な銃の手入れをしていた中年女性のエミリー(ブレンダ・ブレッシン)。そしてカイテルはウィッテカー師匠にかなりの憎しみを抱いている。どうやら彼の仲間を殺したのが、ウィッテカー師匠らしい。しかも3年刑期早まりやがって!!と、カイテルはご立腹。イライラ。
しかしウィッテカー師匠は、出所後は真面目に暮らそうと努力する。誰もやりたがらないような仕事でも、真面目に仕事。保護観察官の言われた通りに頑張る。だって、今は敬虔なイスラム教徒だから!しかも銀行で美しい女性に出会い、18年ぶりの生身の女性に恋!なんだか真面目にやっていけそうな気がするー!
でもそうは問屋が卸さないですよ!と、カイテルがいちいち突っかかってくる。しかも会ってはいけないと言われている昔の悪仲間テレンス(ルイス・ガスマン a/k/a 青空球児的ゲロゲーロ)が、これまたしつこく絡もうとしてくる。なので、ウィッテカー師匠は「ああああああああぁあああ!」な状況になってしまうのです。で、どうするか?ですよね。
ちなみにこの映画は『暗黒街のふたり』のリメイク。Allcinemaさんのその映画へのコメントは「ラスト・シーンがショッキング」とある。もうラストシーンが超印象的。なんていうか、罪は刑期をもって償った筈の男の人生を、冷たくぶった切ったラスト。それは人々の脳裏に焼き付いてしまう強烈なもの。しかし、こちらは印象がまったく違う。曖昧なんですよね。カイテルの執念が、ウィッテカー師匠の怨恨となってしまっただけだった。宗教絡めたのも今ひとつ。主人公をイスラムに改宗させちゃったのがダメな原因じゃないかと。イスラムがダメとか書いているんじゃないんですよ。自分の犯した罪を自分の良い行いで償おうとするのがキリスト教徒(もちろんそれだけはない)。イスラムだと違うよね。アラーへの祈りで、罪は贖っているから。なので、ウィッテカー師匠の行動は贖罪のようで贖罪じゃないんだ。あれは自分を戒めるためのもの。罪を悔いるシーン無いし。
しかしウィッテカー師匠とブレンダ・ブレッシンとカイテルの絡みは最高でしたね!
(4点/5点満点中:9/25/15:DVDにて鑑賞)