既に日本でも公開されており、他で沢山のステキな映画評を書かれている事なので、今回は突っ込みたい所だけ書きます。
まずは、なぜロバート・マッコールは地味にホームセンターに勤めているのか?だと思う。まあ一番の理由は、ホームセンターに舞台を設定する事で、ラストの怒涛の『冒険野郎マクガイバー』、いや『ホーム・アローン』とも取れるアクションに繋がるからという理由もあるかもしれない。でも、アメリカにはこんな都市伝説もある。実際には分からないが、政府系の仕事をして勤め上げて引退すると、ホームセンターの大手「ホーム・デボ」が無条件で雇ってくれるという伝説が!だからマッコールが働いていた店で、若い子が「こんなところでなぜ働いているの?(実際の日本語訳は分からない!)」という台詞もあったりする。多分マッコールは政府系の仕事を引退して働いていると思われたのだろう。ま、実際に政府系の仕事を隠居している訳ですし...
そしてこちらもちゃんと日本語に訳されているか分からないけど、店の若い子たちに質問され、ロバート・マッコールは「ピップスさ!」と自慢のステップを披露するシーンがある(デンゼルに踊らすとは名シーン!)。ピップスとはもちろんグラディス・ナイト・アンド・ザ・ピップスである。メインボーカルのグラディスのお兄ちゃんや従兄弟などがバックボーカルとして参加していたのが「ピップス」。素晴らしいバックコーラスと華麗なステップを披露してくれるのだけど、どうもグラディスの圧倒的なボーカルに押されがちで、黒人の間では「目立たない人たち」という印象でそういう人たちの代名詞でもあった。彼等はどうもジョークになりやすい人たちでもあった。だからこそマッコールは「ピップス」を選んだ。だから若い子たちも実際の昔の映像をネットで探してみている時に「どれ?これか!」となってしまったのである。しかも案の定バレずに済んだ。
そしてマッコールがラストで読書していたのが、ラルフ・エリソンの「見えない人間」。黒人であるが故に世界を閉ざし「見えない人間」になった男。特殊な仕事やそのせいで失ったものがある為に、極力人との関係を閉ざし、なんとか「見えない人間」になろうとしていたロバート・マッコール。しかしずっと「見えない人間」である事は不可能であった。計画は崩れた。守ろうとするべきものが目の前にやってきてしまったのである。マッコールは「見えない人間」の主人公のラストと同じように自分のアイデンティティと居場所を見つけて歩みだすのも面白い。H・G・ウエルズの「透明人間」の方だと思われている方もいるみたいですが、ラルフ・エリソンの「見えない人間」の方です。H・G・ウエルズのは「The Invisible Man」で、デンゼルが持っていたのは「Invisible Man」なので「見えない人間」の方です。
と、実はちょっとだけ深い。そんな風に感じさせないけれど。
続編が楽しみっすね!確実に続編狙いの最後でしたよねー。ボストンが舞台なのも面白かった。
(4.5点/5点満点中:1/13/15:DVDにて鑑賞)