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Dead Homies in AmeriKKKa

They killed a homie that I went to school with, I tell ya life ain't shit to fool with, I still hear the screams of his mother, While my nigga laid dead in the gutter...
(一緒に学校に行っていたダチを奴等は殺しやがった、お前の人生なんてあいつ等にはどうって事ない事なんだ、まだ奴の母さんの叫び声が聞こえている、あいつが側溝で死に横たわっている中...)

アイス・キューブの1990年に発売された『Kill at Will』アルバムの1曲「Dead Homiez」の一節。1990年に書かれた詩がそのままの状況になってしまったのが、8月9日にミズーリー州セントルイス郊外ファーガソンで起きた18歳のマイケル・ブラウン(マイク・ブラウン)の死亡事件である。

マイク・ブラウンは、友人と歩いている時に車道に居たので、目撃された警察官ダレン・ウィルソンに呼び止められた。警察側によると、マイク・ブラウンがウィルソンの拳銃に手を伸ばしたので、取っ組み合いになり、逃げたブラウンを射殺したと発表。しかし目撃者や一緒にいた友人の証言によると、ブラウンは逃げようとしたが、警察官が2発ブラウンの背後を目がけて発砲したので、その後ブラウンは振り向き、手を挙げて降伏したが、ウィルソンはその後も発砲を続け射殺されたという事である。

丸腰の18歳が射殺された事で、ファーガソンの60%を占める黒人住人が反発。しかも警察はウィルソンを守るかのように、その警官の名前の発表を渋った。次の日の10日にマイク・ブラウンを追悼するキャンドル通夜にて住民が集結。事件が起こった付近で集まった人々が「No Justice, No Peace(正義なければ、平和なし)」とチャントを始めた。警察がライフルや暴動鎮圧用盾を持ち駆けつけた。それにより緊張感が高まり、元々地元の警察官に不満を抱えていた人々は、その警察の高圧的な状況に怒りを爆発。暴動へとなり、略奪も行われた。

11日、ツイッターなどのSNSファーガソンの状況が伝えられると、事態を重くみた当局がFBIがこの事件に介入する事が伝えられた。一方で、ファーガソンの住民はブラウンを殺した警官の名前を明らかにする事などを抗議し続けたが、警察からの正式な発表はなし。警察側と住民の衝突はエスカレート。

12日、正式に警察が警察官の名前を明かす事を拒否したと伝えられる。白昼堂々と、警察の武装車とSWATチームが登場。警察側と住民の衝突は激しさを増し、住民達は平和的な行進や抗議を続けていたが、警察側が催涙ガスや火炎びんにゴム弾まで使用し、市民を刺激し、市民側にはゴム弾が当たるなどの被害も出る。

13日、引き続き警察と住民の衝突は続く。この頃には各地から大手のジャーナリストがファーガソンに集まっていた。ワシントンポストウェズリー・ロウリー氏とハフィングトン・ポストのライアン・J・ライリー氏が、ファーガソンマクドナルドに入って携帯を充電していたら、警察官に不法侵入で一時拘束される。同じく、ファーガソンの市会議員で現場からずっとツイッターで状態をツイートしていたアントニオ・フレンチ氏も警察に拘束される。ジャーナリストの2人は割りとすぐに開放されたが、フレンチ氏は次の朝まで拘束。3人が警察に拘束された事で、大手のニュースCNNなどもライブで状況を伝えるようになる。

14日、休暇中のオバマ大統領が休暇先から声明を発表。それと同じくして、ファーガソンの警備が地元警察から州のハイウェイ・パトロールに変更されると発表。黒人のキャプテンであるロン・ジョンソン氏が、「催涙ガスなどを使うのではなく、住民と対話して理解を深める」と、住民と手を取り一緒に行進。この日はやっと衝突もなく暴動や略奪も起きなかった。

15日、事態の収束を見据えて、警察側がようやく正式に警察官の名前ダレン・ウィルソンの名前を発表(しかし写真は正式に発表せず)。それと当時に、マイク・ブラウンが射殺される前にコンビニで強盗をしたという証拠の防犯カメラの映像と、警察リポート19ページを発表。住民はマイク・ブラウンの性格を汚す行為で、これだけ発表に時間のかかった防犯カメラの映像も作り物ではないか?と、夜になって、そのコンビニや他の店が暴動に荒らされる。しかし一方で、住民が盾となり店を守るという光景も見られた。そして名前が発表されたダレル・ウィルソンの方は、警察から優秀で表彰される予定だった事や、友人のそんな事する人ではないという談話がマスコミで流される。

16日、ジェイ・ニクソン州知事が「緊急事態」を発令。町には深夜12時から朝5時までの外出禁止令が出される。ハイウェイ・パトロールのキャプテンのジョンソン氏は、催涙ガスなどは使わないと言っていたが、店が襲われそうになったので、催涙ガスを使用。7人が逮捕され、1人が銃弾を受けて重体。

17日、夜になり暴動は激しさを増す。翌朝にはジェイ・ニクソン州知事がナショナル・ガードを投入を発表。ナショナル・ガードはアメリカ軍の一部。州で災害などが遭った時に出動する。

Michael Brown’s Shooting and Its Immediate Aftermath in Ferguson - The New York Times

ここまで住民を怒らせているのは、ブラウンが手を挙げて降伏したという点、マイク・ブラウンの死体を無意味に長い間ずっと放置した事、そして市民ではなく警察官を守り名前をずっと伏せた事、射殺された事と関係ないのに(ウィルソンは強盗の件は知らなかった)強盗の証拠映像が流れた事...

彼らの怒りは理解出来るが、だからと言って暴力や略奪を正当化は出来ない。そこにリーダーの不在を感じずにはいられない。ジェシー・ジャクソンやアル・シャープトンという人たちがファーガソンを訪れたが、彼らはブーイングで迎えられた。今回の催涙ガスなどや警察との対立の映像は、60年代の公民権運動でも見た映像とそっくりではあるが、完全に違うのは公民権運動はキング牧師の指導により非暴力を貫いた。彼らは非暴力で耐えたからこそ、自分達の権利を正当化出来、訴える事が出来たのだ。なぜ黒人は自分達の素晴らしい歴史から学ばないのだろう?と思う。

正直、この手は毎日のように起きている。先日もニューヨークのスタテンアイランドの黒人男性エリック・ガーナーが、警察から後ろから首を腕で押さえつけられ、窒息して亡くなった。彼は喧嘩の仲裁をしたが、税金逃れの違法なタバコを売っていた容疑で警察から質問を受けていた。「警察からのイジメはウンザリだよ」と言っていただけで、警察を威圧するような行為も言動も無かった。近くに居た知り合いが携帯でその様子を録画していて、ネットで広がった。しかしその様子を撮っていた人も、別の容疑に掛けられて警察に捕まっている。

ロサンジェルスでも25歳のイーゼル・フォードという男性がロサンジェルス市警から射殺された。彼もまた警察官と揉めていて、フォードが警察官の拳銃に手を伸ばそうとしたので撃たれたと警察側のリポートにあるが、目撃者によるとフォードと警察官が揉めていた様子もなかったという。フォードは精神的な病気を抱えていた。こちらはファーガソンの事が起きて、すぐ後に起きた事である。ロサンジェルスでも抗議行進が行われている。
LAPD shooting of mentally ill man stirs criticism, questions

日本でも公開された『Fruitvale Station / フルートベール駅で (2013)』は見た人なら忘れられないであろう。マイク・ブラウンにイーゼル・フォード、そしてエリック・ガーナーにもオスカー・グラントのような平凡な1日を送っていたのだ。エリック・ガーナーには6人の子供が居て、2人の孫もいた。彼らの未来は父の存在が無くなるのだ。

黒人側にも問題があるから仕方ないと言ってしまえば簡単な問題かもしれない。黒人だから... それは白人だったら起きなかった事。つまり白人の特権って奴だ。白人でも悪い奴は同じほど要るけれど、白人には起きない。でも黒人は悪いから起きるんだ。だからいつも殺されるのは黒人なんだ。決め付けられて殺されるんだ。

冒頭に書いたアイス・キューブは2008年のアルバム「Raw Footage」に収録している「Why Me?」でも、殺された黒人について語っている。

Why the fuck you wanna murder me? Your punk ass never heard of me, I never did nuttin to your family, Still you wanna kill a young nigga randomly, Mr. Gun Man, your plan is workin, Cause niggas is dyin, and mommas is hurtin
(なんで俺なんかを殺したんだ?お前みたいな弱虫は俺の事聞いた事ないだろ?俺はお前さんの家族になんもしちゃいない、けどまだ若い黒人の奴等を無作為にに殺したいってか?ガンマンさんよ、お前のプランは機能している、なぜから黒人たちは死んで、かあさんたちは傷ついてる)

Dedicated to all the niggas, That's dead and don't know why, Who wanna look at the nigga who shot 'em, And ask these questions, Why me homey, why me?
(黒人たちに捧げる、なんで死んだか分からない奴等にね、そして殺人者の顔を見て、こう聞きたい奴等にね。なんで俺なんだ?なんで?)

なんで?