あの有名な「サタデー・ナイト・ライブ(以下SNL)」のレギュラーである黒人コメディアンのキーナン・トンプソンが先日「なんでSNLには黒人女性の出演者が少ないのか?」という問いに、「準備出来ている黒人コメディアンヌ・女優が居ないから」と答え、黒人女性たちからのバッシングを受けた。ちなみに彼と同じく現在のレギュラーである黒人コメディアンのジェイ・ファロアはその前に別のインタビューで同じ事を聞かれ「(SNLの制作側は)多様性に注意し関心を持って、黒人コメディアンヌのダーミリア・ブラウソン(モノマネが得意なコメディアンヌ)を雇うべきだと提案したんだ」と答えている。
SNL38年の歴史で黒人コメディアンヌ・女優がレギュラーに選ばれたのは、たった4人。イヴォンヌ・ハドソン (1980-81)*1、ダニトラ・ヴァンス (1985-86)、エレン・クレゴーン (1991-95) 、マヤ・ルドルフ (2000-2007)だ。シーズン35となる2009年から現在までの90エピソードの中で、黒人女性がホストを勤めたのは、2010年4月のガボリー・シディベ、2012年2月のマヤ・ルドルフのみ。
Kenan Thompson: Black female comics not 'ready' for 'SNL'
黒人コメディアンヌに限らず、昔からSNLは黒人に冷たかった。1985年シーズンからレギュラーとなったデーモン・ウェイアンズは、ずっとその不満を抱えていた。面白くないと思っても、やらなきゃいけないストレス。そして突然そのストレスを爆発させ、用意された台詞ではなくアドリブで答えた。それはプロデューサー達の逆鱗に触れ、解雇させられた。デーモン・ウェイアンズの兄キーネン・アイボリー・ウェイアンズはそれを聞いて制作したのが「イン・リヴィング・カラー(以下ILC)」。「才能あるデーモンが埋もれては残念、デーモンには好きな事を俺がさせてあげよう」と願ったのだった。彼等の情熱は、番組をヒットさせ、あの黒人が受賞するのはもっと難しいと言われているエミー賞で受賞までしたのだった。
そして1990年からレギュラーになったクリス・ロックは、そのILCに出演したくて、SNLを去った。「理由はまだSNLは白人のショーだからだよ。それに比べてILCはヒップでホットで、俺がやりたい事やっていた」と語っている。
http://www.laughspin.com/2011/11/03/chris-rock-why-i-left-saturday-night-live/
1975年から5年もレギュラーを務めたギャレット・モリスは、目立たないレギュラーとして有名で、それをジョークにすらされた。本人もSNLの日々を余り良く思っておらず、ステレオタイプな役ばかりやらされて嫌だったと語る程である。
ティム・メドウズは1991年から9年間もレギュラーだったが、映画「The Ladies Man / レディース★マン (2000)」を置き土産に、その後はあまりパッとした活躍を見せていない。
逆にSNLに出たことで有名になったのは、エディ・マーフィとトレイシー・モーガンの2人がいる。エディ・マーフィの活躍は説明不要。しかしトレイシー・モーガンはSNL出身というよりも、「30 ROCK/サーティー・ロック」で有名。
SNLの制作者ローン・マイケルズは「起こると思うよ」と答えている。
http://www.huffingtonpost.com/2013/11/01/lorne-michaels-snl-black-women_n_4193644.html
そしてこのニュースが流れて数日後に、ケリー・ワシントンがホストを務める事が発表された。
と、コメディが大好きな私だけど、SNLは見ていない。理由は簡単だ。面白くないからである。SNLが面白い時は実に少ない。私にとってSNLが面白かったのは、ジョン・ベルーシが出ていた頃、エディ・マーフィが出ていた頃、クリス・ファーレイが出ていた頃、そしてウィル・フェレルとティナ・フェイの頃だけ。「イン・リヴィング・カラー」は違う。ずっと面白かった。確かにキーネンとデーモンが去った後は、完全にパワーダウンしたけれど、それでもジェイミー・フォックス等が番組を盛り上げていた。
いちよう黒人に聞いてみた。「SNLとILCのどっちが面白い?」と。「はあ?イン・リヴィング・カラーに決まってるでしょ!ILCは白人(ジム・キャリー)だって面白かったからね!」。
*1:準レギュラー