渦中のローレンス・フィッシュバーンが主演の本格派「オリジナル・アメリカン・ギャングスター」映画。マフィアに詳しくない人でも名前ぐらいは聞いた事のあるだろうラッキー・ルシアーノなんていう名前も出てきます。「American Gangster / アメリカン・ギャングスター (2007)」が制作された時に、主題となったフランク・ルーカスこそ「アメリカン・ギャングスター」なんて書かれてましたが、(´゚艸゚`*)ぷぷぷっーですよ。映画制作前にフランク・ルーカスを知らない人は多いけれど、この映画の主役バンピー・ジョンソンは知ってる人は多いと思う。というのもあの「Shaft / 黒いジャガー (1971)」でモーゼス・ガンが演じたバンピー・ジョナスは、このバンピー・ジョンソンをモデルにしている。「American Gangster / アメリカン・ギャングスター (2007)」でもバンピー・ジョンソンが出てきましたね。演じていたのは、この映画にも出ているクラレンス・ウィリアムス3世。この映画ではバンピーの敵ダッチ・シュルツの幹部を演じていますが...うひひ。この映画と「American Gangster / アメリカン・ギャングスター (2007)」は割とリンクしているというか、「American Gangster / アメリカン・ギャングスター (2007)」側がわざとそう作ったんだと思います。
この映画はバンピー・ジョンソンやラッキー・ルシアーノ、ダッチ・シュルツ、マダム・クイーン、トーマス・デューイなんていう実在する人物が登場しておきながら、史実を忠実に描いた訳でなく、架空の物語等も交ぜながら、でも歴史作として見られる面白い作品。バンピーがシング・シング刑務所に入っていて、その後にハーレムに戻ってきてマダム・クイーンの組織を受け継いだのは史実通りだけど、バンピー・ジョンソンの恋人となるヴァネッサ・ウィリアムス(セデスの方)演じるフランシーン・ヒューズは架空。でも彼女のキャラクターを入れたことで、バンピーが素直に自分の心情をさらけ出す場面があっていいですね。なんでギャングになったのか、なんでナンバー賭博をやっているのか...それらがサラりと台詞で出てきます。そのバンピーを知るには、この映画の時代背景が多いに関わってくる。時代は1930年代。丁度世界恐慌があったばかりの頃。黒人には仕事なんて無かった。バンピーはフランシーンに「ナンバー賭博はハーレムだけで黒人の2000人にも職を与えてるんだぜ」といいます。共感は出来ないけれど、納得は出来てしまうのです。またバンピーは頭が良くて、詩なんかを書いていた。そんな部分をフランシーンが惚れてしまうという設定にしたのも上手い。
ちなみにこの時代背景となっている1930年代にはこの映画のようにニューヨークを舞台にしたギャング映画が作られていました。その中で人気俳優がRalph Cooper (ラルフ・クーパー)。彼はアポロシアターの司会でもあり、当時のクラブシーンに欠かせない人物だった。「Dark Manhattan / 日本未公開 (1937)」や「Gang War / 日本未公開 (1940)」なんて作品を作ってます。
監督はBill Duke (ビル・デューク)。迫力ある顔が印象的ですが、「A Rage in Harlem / レイジ・イン・ハーレム (1991)」とか大好きです。「レイジ・イン・ハーレム」同様に暗黒時代のハーレムを見事に再現していると思います。1930年代のギャング達の雰囲気を見事に復活させて、かなり見せるドラマに仕上げてますね。オペラに行く途中での撃ち合いシーンや、ダッチのビール工場に爆弾仕掛けるシーンとかハラハラドキドキです。ティム・ロス演じたダッチ・シュルツがとことん嫌な奴を演じているのも良いですね。最後とかしつこくて、でもカッコ良くてかなり良い。最後もちょっと史実と違うみたい。そしてウィスパーズ役のポール・ベンジャミンの使い方、最高!ポール・ベンジャミン、最高だよ、本当に。
「American Gangster / アメリカン・ギャングスター (2007)」と奇しくも同じ点数になりましたが、好き度はこちらの方が断然上。
それにしても、フィッシュの娘のモンタナちゃん、パパは本気出したら怖いぞ!この映画で証明してるぞ。君も間違いなく見てる筈。忘れていたら見直して思い出してくれ。君もすぐに考え改める筈。
(4.75点/5点満点中:DVDにてモンタナちゃんの将来を祈りつつ鑑賞)