南アフリカが舞台の作品です。はい、アフリカ映画にはまっております。でも今回は近代のアフリカ映画。しかもコメディ映画。政治的な要素は殆ど無し。南アフリカの人々の娯楽の為の映画です。というか、ここ最近アフリカ映画を見て思ったのは、ヤギってアフリカ人にとっての笑いのツボなんでしょうね。「ヤギ、マジ受けるんですけどー(〃 ̄∇ ̄)ノ彡」みたいな。この映画のタイトルのモナはヤギです。名前はモナですが、男にだらしない...とかではありません。ただ泣き声からつけられました。「Munyurangabo / 日本未公開 (2007)」はルワンダが舞台ですが、こちらも日本なら「ジョジョ、受けるー」の年頃の男の子が、なぜかヤギについて語り合い意気投合してましたからねー。ヤギはアフリカにとって、とっても身近な存在なんでしょうね。とは言え、アメリカのコメディみたいな作品でした。主人公はマックスという「田舎者」なんて言われてしまうほど純粋な20歳の青年。お葬式では彼が出席すると、その故人を悼み、出席者が全員泣いてしまうという才能の持ち主。お爺さんもその才能があった。心優しい青年です。しかし、村を出る時に母から従姉妹の結婚式でヤギが居るとの事で、ヤギを連れていく事に...そのヤギのせいで様々なドタバタコメディが起きるのです。まあさすがにアメリカだとヤギは使わないけど、ブタが出てきそうですね。アメリカ人のツボがブタですし。しかし、その中に恋愛も織り交ぜています。デビュー当時のローリン・ヒルみたいな子が主役のマックスと絡みます。そして一家の厄介者で唯一都会に暮らしているのが、ノーマンおじさん。母方の兄弟。飲み屋を経営しているけど、ドラック売買にも手を出していて... レイザーという(弱そうに見える)ギャングとトラブル。背は低いしベイビーフェイスだし声も高いので、私は弱そうだなーと思ったんですが、劇中では手が早い危険な男でした。いやそういう所がアフリカンジョークなのかもしれません。どう考えてもアメリカだったら、ジャ・ルールかコメディアンのケビン・ハートが演じそうだなーとか思って観てました。そのレイザーの手下が体格のいい双子。どっちがどっちが分からず...最後は自分達も分からず。エディ・マーフィの「Norbit / マッド・ファット・ワイフ (2007)」にもこんな感じがあったかなーと。
主役のマックスを演じたムフォ・ラビンガは「Catch a Fire / 輝く夜明けに向かって (2006)」に出ていたらしい。ちょっと思い出せない。そして悪いノーマンおじさんを演じたジェリー・モフォケンは「Tsotsi / ツォツィ (2005)」に出ていた。これは覚えている!主役と交流するあの浮浪者役だ!浮浪者役と言えば、「Above the Rim / ビート・オブ・ダンク (1994)」のバーニー・マックだなーと思い、生きていれば彼でリメイクできたのに...(涙)。このジェリー・モフォケンが良い。もう本当にどうしようもないおじさん。ラストまでも持っていきかたが最高。でもやっぱりどうしよーもないおじさんなのです。
そして南アフリカの映画と言えば、歴史は古いらしいがアパルトヘイト政策により白人寄りだった。私達が知る南アフリカの映画も主役が黒人であっても、製作者はイギリスからの白人やアフリカーナーが多かった。これはアメリカやヨーロッパで作られた南アフリカを舞台にした映画でも同じ現象。しかしこの映画でテディ・マッテラという黒人の監督がデビューを果たした。彼はアメリカやイギリスなどで映画を勉強。なんとあの「Hoop Dreams / フープ・ドリームス (1994)」でインターンとして勉強していたらしい*1。だからでしょうね。どことなくアメリカぽいのだけど、やっぱり観ているとアフリカなのです。やっぱりブラックアフリカを知るのはブラックアフリカなのです。そしてアフリカにも新しい監督達が続々と育ってきていて、昨日出展作品が発表になったカンヌ映画祭でも私の大好きな北野武監督と同じ土俵で、チャドのマハマット=サレー・ハルーン監督が戦う事になりましたからね... こうやって豊かに様々な国を知りたいですね。そのマハマット=サレー・ハルーンの「Abouna / 僕らの父さん (2002)」を手に入れているので、近日中に観ます!という事で、アフリカ映画が続きます。少なくとも次までは...
(4点/5点満点中:DVDにて鑑賞)